【実録】社会福祉学の通信制大学院を受験・合格した経験を公開

福祉系大学院

現在福祉の仕事をしている方の中には、「大学院に進学してステップアップしたい」と考える人もいると思います。

この記事では、実際に社会福祉士として働きながら通信制大学院を受験・合格した筆者が、「通信制大学院ってどうやって受験するの?」「研究計画書の書き方は?」「合格するコツは?」という疑問に答えていきます。

筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/
目次
  1. 働きながら学ぶという選択肢
  2. 通信制大学院はどこを受験する?
  3. 通信制大学院を受験する流れは?
  4. 筆者が実際に提出した書類一覧
  5. 【最重要】研究計画書の書き方は?
  6. 筆記・面接試験で問われたことは?
  7. 大学院を無事2年間で修了するポイントは?

働きながら学ぶという選択肢

社会福祉士養成校に通信制が多いのは知られていることかと思いますが、大学院にも、働きながら通信制で学べるところがいくつかあります。仕事を退職して学生に戻るのが経済的に難しい場合、働きながら学べるのはありがたいですよね。

筆者も平日に仕事、平日の夜間と週末にレポートやオンライン学習、修士論文を進め、なんとか2年間で通信制大学院(社会福祉学専攻)を修了することができました。

働きながら大学院で学ぶというのは、レポートの提出に追われてとても忙しくなるので、大変なのですが、やりがいや達成感はとても大きいです。

社会福祉士が大学院に入学するメリットについては、別の記事でも紹介していますので、良かったら読んでください。

社会福祉士は大学院に行った方が良い?メリット5つを紹介

 https://fukushilabo.com/syakaihukushi-daigakuin/

通信制大学院はどこを受験する?

社会福祉学(修士課程)を専攻する場合は、国内では日本福祉大学、東北福祉大学、東京福祉大学、九州保健福祉大学、佛教大学の5校が通信制大学院を開講しています。

ただ日本福祉大学や佛教大学を受験するには「実務経験3年以上」と条件が付いています。大学院では研究テーマを自分で決めて論文を書くので、福祉業界の現場のことをよく知っている方が望ましいというメッセージなのではないかと思います。

東北福祉大学はそのような条件はなく、4年制大学を卒業していれば受験が可能なので、まずはご自身がどこを受験できるか調べてみましょう。(ちなみに学部は社会福祉学部でなくても、大丈夫です。筆者も文学部出身ですが、大学院は社会福祉学部という形になりました。)

学費も安くはないので、しっかり調べて比較しておきたいところですね。また、スクーリングで通えるかどうか、学費とは別に、大学までの交通費や滞在費はどれくらい掛かりそうかについても計算しておきましょう。大学院を修了すると、修士号を取得できるほか、東京福祉大学のように、高等学校教諭専修免許状(福祉)を得られる学校もあります。何を目的に大学院に行きたいのかも、改めて考えると良いですね。

出願期間は、秋ごろから受け付け開始するところが多いですが、各大学によってまちまちです。大学の公式ホームページで確認してから出願する流れとなります。

修士課程を修了し、博士課程に進む場合、通信で学べるところは、九州保健福祉大学の1校のみと、さらに限られます。ほかの大学でも博士課程は設置されていますが、通学制となります。

受験の日程が重なっていなければ、複数受験することも可能かもしれません。ただ、出願するだけでも受験費用が掛かってしまう場合があるのと、必要な書類をそろえる手間がかかってしまうというデメリットもあります。志望順位を決めてから順番に受験していく方法がオススメです。

志望校を選ぶポイントをまとめました。

  • 通いやすさ、大学の立地
  • 修了後、得られる資格や免許
  • カリキュラムや学習できる内容
  • 修士論文は必須かどうか
  • 教授や学校側のサポートは手厚いかどうか
  • 学費はどれくらいかかるか
  • 学費以外の諸経費
  • 試験内容はクリアできそうか
  • 仕事や家事と勉強(スクーリングや研究)を両立できそうか

通信制大学院を受験する流れは?

筆者の場合は、まず期限までに必要な書類を用意し、大学に郵送しました。書類を用意するだけでも志望動機などの構成を考え、何度か書き直したので、1~2週間はかかりました

働きながらだと、休日を使って書類を用意するだけでも一苦労ですよね。

意外と大変だったのは、家族の了解を得ることです。家族は応援してくれるのかと思ったのですが、学費が高いという点で驚かれたのと、大学院に通うことで家事や仕事がおろそかにならないか心配されました。何度か話し合いの末、なんとか了解をもらって受験に至りました。

ちなみに受験については、職場の同僚には誰にも話さず、上司にだけ話していました。大学院2年目になると研究がさらに忙しくなり、有給を取るしかないということになる可能性があったからです。受験に落ちたら恥ずかしいので、むやみやたらに周囲に話すのは止めました。

筆記と面接試験を受けるために8万円

書類が無事に受理されると受験票が大学から届き、筆記試験と面接を受けるために受験会場に行きました。筆者は大学から遠方に住んでいたため、電車と飛行機を使って受験会場近くのホテルに前泊しました。受験するだけでも7~8万円は掛かりましたね…。

筆記試験が始まるまでの時間は、あまり早く着きすぎても緊張してしまうと思ったので、会場近くのカフェで社会福祉関係の本を読みながら時間をつぶしました。

慣れない土地なので、道に迷ったら大変だと思い、かなり余裕を持って移動するようにしていたのを覚えています。

大学院は募集人数が少ないですが、受験会場には定員の5倍程度の人数の方がいて、ちょっと自信を失いそうになりました。

そして筆記試験・面接試験を受け、その日は終了となりました。試験の日は午後の早い時間に終わったので、その日は宿泊する必要はなく、飛行機で帰路に就きました。

筆者が実際に提出した書類一覧

筆者の場合は、履歴書、研究計画書(4000字程度)と志望理由書(2000字程度)を提出しました。

いずれもパソコンによる記入ではなく、「本人自筆」という指定があったため手書きで書きました。誤字があると格好悪いのでもう一度書き直し…なかなか大変ですが、「ここでくじけていては、修士論文なんて書けない!」と思い、慎重に書きました。

大学によっては、顔写真や、学歴証明書や成績証明書が必要となるところもあるので、卒業した学校の教務に依頼する手続きを行います。

大学所定の様式や、文字数、記入の仕方については各大学の指定に沿って用意します。

【最重要】研究計画書の書き方は?

志望理由書は、「社会福祉の専門性を身に着けたい」とか、「関心があるテーマについて、研究してみたい」というように、大学院に入りたいという率直な気持ちをまとめることができます。しかし、多くの方にとって「研究計画書」は、書き慣れていないのではないでしょうか。

筆者の場合は、大学院で研究したいテーマや問題意識、研究手法などについて記述しました。大学院に行く目標の一つが、修士論文を仕上げることなので、力を入れて記入することをお勧めします。

また、近年では研究倫理が非常に重要視されている面があります。研究によってインタビュー対象者を傷つける恐れが無いかなど、研究を行う過程で倫理を守れるかどうかを示す必要があるので、気を配るようにしましょう。

筆記・面接試験で問われたことは?

筆記試験は社会福祉学に関するテーマを複数与えられ、自分の考えを記述していくというものでした。筆者が受験した時は、「障害者差別をなくしていくために重要なこととは」などがテーマでした。筆記試験はレポートと異なり、時間内に分かりやすくまとめ上げるというところが難しかったです。書き出す前にある程度構成を考える必要がありますね。

出題レベルは、社会福祉士を取得していれば回答できる程度でした。しかし筆者の場合、資格を取ってから数年間経過しており、福祉の歴史や専門分野以外の法律は忘れているところもあったので、改めて教科書を見直す必要がありました。

面接試験では、事前に提出した書類について、面接官の先生から質問を受けました。面接官は2人いたので緊張しましたが、意外と和やかな雰囲気で行われました。

面接で特に問われたことは、修士論文を仕上げる力量があるかどうかという点だったと感じています。「なぜこのテーマで修士論文を書こうと思ったのか?」「大学時代に卒業論文は何をテーマに、どれくらいの分量で執筆したか?」という点についても聞かれました。

さらに、スクーリングがある場合、仕事を休んで遠方から通学することができるかどうかについても確認されました。通信制大学院ならではですが、働きながら職場や家族の理解を得て時間を捻出し、学ぶことができる環境にあるかという点も大事なのだと感じました。 

大学院を無事2年間で修了するポイントは?

せっかく大学院に入学できたら、2年間で修了したいですよね。しかし、2年間で修了できる割合は多くても6割程度で、残りの4割はさらに数年間掛けて学ぶか、残念ながら修了を諦めてしまうことになるそうです。それだけ、働きながら学習するということは時間的にも体力的にもハードなことなのだと感じます。

実際、筆者の場合はコロナ禍ということもありオンラインで学ぶことが多く、大学に行く回数はそれほど多くはありませんでした。しかし、お盆や年末にオンラインによる授業を受けることもあったので、いかに休日を有効活用するかが大切だと思います。

今振り返ってみると、仕事が終わった後、平日の夜に資料を読んだり、少しでもレポートを書き進めたりしたこともありましたが、疲れもあってあまり効率的ではなかったと感じます。休日に家族で「勉強タイム」を作って、それぞれの勉強に集中することで、なんとか修士論文を完成させることができました。

皆さんも大学院に行ったら、ぜひ日々の中で工夫することによって、修了を目指してくださいね。

修士の次は博士課程…?

筆者は面白がって研究に打ち込めるタイプなので、博士課程にも関心はあります。しかし、通信制の博士課程を設置している九州保健福祉大学には、遠方で3年間はとても通えそうになく、断念しております。

いずれにしても、職場にも研究に協力してもらい、無事修了でき、周りには感謝するしかありません。激務の職場にいる場合は、研究するための時間を作ることも難しいと思いますので、働きやすい職場にいるということもポイントになりますね。

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