ケアマネージャーや相談支援専門員、ソーシャルワーカーの仕事をしている人の中には、最近登場した「将来的に、チャットGPTに仕事を取られるんじゃないか?」と心配になる人もいると思います。確かに、チャットGPTは日本語でも利用が可能ですし、自動でメールや文章を作成してくれるので、便利なツールです。
普段の業務の中で書類を作成することの多い相談支援の仕事は、取られてしまうのではないかと心配になりますよね。でも大丈夫です!むしろ相談支援職にとって、チャットGPTは仕事の味方になる可能性も秘めています。
この記事では、相談支援の仕事はチャットGPTに取られる心配はない5つの理由を解説していきます。
- 相談支援の仕事がチャットGPTに取られない理由5選
- チャットGPTは膨大な情報から文章を生成する
- 個々人に寄り添った文章を作ることは難しい
- 正しい情報が集められてくるとは限らない
- メールや企画書作成などで活用することは可能
- 面談や訪問、同行などチャットGPTにはできないことがたくさん
- 今後は今までよりクリエイティブな仕事に注力することができる
相談支援の仕事がチャットGPTに取られない理由5選
そもそも「チャットGPTとはなんだろう?」「ニュースで聞いたことはあるけれど、イマイチ機能について知らない」という方もいるかもしれません。チャットGPTは対話型のAIツールと訳されることがありますが、質問を打ち込むとAIがインターネット上で公開されている情報の中から有用だと判断した部分を集め、回答してくれるというツールです。
しかし、相談支援の仕事には書類の作成以外にも、報告や連絡、連携など人間にしかできないことが沢山あります。ですから今後もこうした便利なツールがいくら登場しても、人間が行っていくべき仕事と言えます。
それではここからはさらに詳しく、その理由を解説していきます。
(1) チャットGPTは膨大な情報から文章を生成する
AIが回答すると聞くと、「どうせ不自然な日本語になるのではないか?」と思うかもしれませんが、かなり自然な日本語の文章で素早く回答してくれるため、一部の職業にとっては脅威になるのではないかと言われています。
確かにチャットGPTは便利なツールで、いくつかの職業を代行することが可能になる日も近いかもしれません。
人間が投げかける質問に答える以外にも、メールの作成や文章の要約、翻訳やプログラミングなど、これまで人間の手で行ってきたことを行うことができます。例えば一般事務職や翻訳家などの仕事の一部は、今後チャットGPTが担うことになる可能性があります。
しかし、相談支援の仕事ではあくまで個々人の困りごとに対応する必要があります。例えば相談支援専門員は、「軽度知的障がいと発達障害のあるAさんが、職場でトラブルを起こさずに働き続けられるようにするに、はどうしたら良いか?」といった個別テーマについて考えます。
しかし、チャットGPTは障がい者の就労に関して一般的な答えを提示することはできても、Aさんという個別のケースについては回答を持ち合わせていないのです。
それは、相談支援専門員が実際にAさんに会って対話し、ご本人や周囲の人から困りごとを聞いて課題を抽出し、解決策を考えているからです。こうした業務の過程においては、人間による高度なコミュニケーション能力を必要とします。
いくらAIがデータから学習したとしても、人間と同じような最適解を見つけたり、試行錯誤するのは難しいと考えられます。
(2) 個々人に寄り添った文章を作ることは難しい
チャットGPTはデータを基に一般的な回答を示すことはできますが、利用者さんや家族の気持ちを理解し、寄り添えるのは人間だけです。
確かに、ケアプランやサービス等利用計画を作成する時は、多くの人がパソコンを使って文章でまとめます。プランニングする時はインターネット上の情報を参考にしている人もいるかもしれません。
「プランの中に入れる文章作成は、チャットGPTでも可能なのでは?」と思われるかもしれません。しかし、チャットGPTやAIが利用者さんのことを観察したり、分析したりすることは現段階の技術では難しいのです。
もしチャットGPTにケアプランやサービス等利用計画の作成を依頼したとしたら、すべての利用者さんがほぼ同じプランになってしまい、一人ひとりに合ったオーダーメイドの計画を作ることは難しいでしょう。例えば高齢者にはとにかく運動を勧め、運動が苦手な高齢者に対しては寄り添うことは難しいのです。
(3) 正しい情報が集められてくるとは限らない
チャットGPTの課題として指摘されていることとして、2021年までに公開されたデータを基に学習しているため、誤った情報を集めて回答する可能性があるという点です。せっかく便利な機能を使っても、文章の内容が正しくないとなれば、やはりプランニングは人間が行った方が良いということになりますよね。
また、学校の宿題やレポートにチャットGPTが活用される危険性についても指摘されていますが、やはり人間が計画を立てることで、利用者さんのことをしっかりと考える必要があると思います。
ケアプランやサービス等利用計画は形式上、ただ作成すればよいというものではないですからね。とにかく計画を量産して収益を上げたいと考える相談支援事業所があるとすると、悪用されてしまう可能性はあります。
一部の自治体や大学で、チャットGPTの利用に関する指針が発表されています。これと同様に今後、ケアプランやサービス等利用計画に関しても、チャットGPTを活用しないよう、自治体が求めてくる可能性すらあると思います。
(4) メールや企画書作成などで活用することは可能
チャットGPTの機能は文章を作るだけではなく、メールを作成したりすることもできます。ケアマネージャーや相談支援専門員は、業務の中で事務作業も多く、メールを送ることも多々ありますよね。
例えば、「先日開催した福祉シンポジウムの登壇者に、お礼のメールを作って」「地域福祉に関するアンケートについて、回答をお願いする文章を作成して」といった依頼であれば、チャットGPTに頼ることができるでしょう。プランニング以外の部分であれば、事務作業のために有効活用しても良いと考えられます。
このように、チャットGPTは相談支援専門員の仕事を奪う存在ではなく、むしろ味方につけることも可能なのです。
チャットGPTがケアマネージャーや相談支援専門員の仕事の効率を上げてくれ、業務上のパートナーになる日も近いかもしれません。
(5) 面談や訪問、同行などチャットGPTにはできないことがたくさん
ケアマネージャーや相談支援専門員の業務は、ただ文章を書いて書類を完成させることではありませんよね。
利用者さんの家を訪問して面談したり、会議を主催したり、時には病院に同行したりと、人間にしかできないことがたくさんあります。
この点に関しては、野村総合研究所が公表している「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」というレポートが非常に参考になります。
このレポートで報告されている「AI時代に無くなる職業ランキング」でランクインしている仕事は、受付業務や工場で物を製造する職人、データ入力などの一般事務職が多くを占めています。
確かにこれらの仕事は、AIやロボットでも行うことができそうですし、病院の案内係などでのロボット活用は実証実験も始まっています。もしかしたら体調不良で休んだりせず、エラーを起こさないという点では、AIやロボットの方が優秀と評価されてしまう恐れさえありますね。
逆に、「AI時代でも仕事がなくならない職業ランキング」には、6位に医療ソーシャルワーカー、19位にケアマネージャーがランクインしています。
そのほかに仕事がなくならない職業を見ても、カウンセラーなど、人の気持ちを理解することが大切な職業が目立ちます。
ですから、これからも自信を持って仕事をしていって大丈夫だと思われます。
今後は今までよりクリエイティブな仕事に注力することができる
AI時代に仕事がなくならない職業ランキングを見ると、福祉業界以外の仕事では、ディレクターやコーディネーター、研究職など、クリエイティブな力が求められる職業が目立ちます。
このことから、これからの時代は右脳を使った、人間のひらめきやアイディアがこれまで以上に重要視されていく時代になっていくものと思われます。人間にしかできないことに注力していくことができる可能性がありますね。
相談支援の仕事は、これからの時代も職業として残っていくと考えると、少し希望が見えてきたのではないでしょうか?
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