相談支援専門員はどのように引継ぎをすればよい?ポイント9選を解説

相談支援

相談支援専門員の方の中には、転職や退職の際、どのように引継ぎをしていけば良いか迷っている人もいると思います。筆者も産休前に数カ月間かけて、いったん担当ケースを引継ぎしたので大変さがよく分かります。

この記事では、「談支援専門員はどうしたらスムーズに引継ぎしていける?」という疑問に答えていきます。

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目次
  1. 相談支援事業所の仕事の特徴とは?
  2. 具体的な引継ぎの流れは?
  3. まずは担当ケースを誰に振り分けるか決める
  4. 担当変更について、利用者さんに了解を得る
  5. 長年担当していたケースは了解に時間が掛かることも
  6. 計画相談はモニタリングの際に新しい担当に同席してもらう
  7. 地域定着支援は同行や訪問の際に引継ぎする
  8. 計画相談の事業所変更の場合は書類を市町村に送付する
  9. 事業所変更を断られたら無理しない

相談支援事業所の仕事の特徴とは?

相談支援事業所では、通所事業所や入所施設の支援員と異なり、1人の職員が非常に数多くのケースを受け持っていることが特徴と言えます。

生活支援員や職業指導員が退職したり、長期休職を取ったりするために、引継ぎを行う時は、利用者さんの特徴や接し方について口頭、または資料で伝えることが多いと思います。

しかし、相談支援専門員は1人で100件以上のケースを持っていることが少なくないので、1人一人について、丁寧に引継ぎすることは難しいかもしれません。

それでもなるべく利用者さんに迷惑が掛からない形で引継ぎが行えるよう、ポイントを紹介していきます。

具体的な引継ぎの流れは?

引継ぎの流れとしては、まず自分自身の業務内容を見直し、何をいつまでに、誰に引継ぎするか計画を立てることから始まります。基幹相談支援センターの相談支援専門員は、計画相談以外にも様々な業務を担当していると思いますので、数カ月間かけて少しずつ引継ぎを行うことが大切です。

急な退職もあるかもしれませんが、遅くとも5~6か月前には引継ぎを開始していきたいところではないでしょうか。

業務内容をExcelの表などに落とし込んで、引継ぎを終えたものから消していくようにすると分かりやすいです。また、細かい点については、実は上司も把握していなかったということも、たまにあります。(表向きは別の職員が担当だったが、実は陰で自分が支えていたということや、3人で担当していたが、主体的に動いていたのは自分だった、など)

自分がいなくなってから残された職員が困らないよう、業務内容は漏れなく書き出すようにしましょう。その後、担当ケースを振り分け、実際に引継ぎに入っていきます。

まずは担当ケースを誰に振り分けるか決める

指定特定相談支援事業所では、1人の相談支援専門員が計画相談のケース100件以上持っていることが多いと思います。ですから、引継ぎを行うためには、ほかの相談支援専門員数名に対して、何件ずつどのケースを振り分けるか決める作業が発生します。

計画相談以外にも、地域定着支援などの直接支援担当者や、事業所内の雑務も次の担当者を決める必要があります。

計画相談について、他の職員も既に多くのケースを持っている場合は、ほかの事業所にケースを持ってもらえないか依頼することになると思います。事業所内だけの話ではなくなってくるので、より丁寧に、失礼の無いように引継ぎする必要があります。

ケースをほかの事業所に移管した場合、事業所としては収入減になるので申し訳ないですが、仕方のないことだと割り切りましょう。

担当変更について、利用者さんに了解を得る

相談支援はご本人と相談支援専門員の信頼関係の下で成り立っています。

利用者さんに何も伝えずに担当が変わっていたり、担当の相談支援専門員が、いつの間にか退職していたということになると、利用者さんとの信頼関係が壊れてしまう可能性もあります。

担当が変わることについては、必ずご本人に伝え、了解を得るようにしましょう

いつ伝えるかという問題がありますが、モニタリングの日程調整をするために電話で連絡をする時がベストだと思います。モニタリングは半年に1回のペースで行うため、職場を離れるまで半年を切っている場合、会う機会が無い利用者さんもいると思います。

その方については電話で、事情を説明するよう心掛けると良いでしょう。一般のお知らせであれば手紙やメールを使う場合もあるかもしれませんが、利用者さんは書面だと理解が難しい方も多いので、口頭での説明をオススメします。

長年担当していたケースは了解に時間が掛かることも

相談支援は相性もあるため、ケースによっては、長年担当していたという方もいたかもしれません。

筆者の経験では、相談支援の利用当初から担当をはじめ、長年ずっと担当していたケース程、了解を得るために時間が掛かりました。

障がい特性によって、なぜ担当が急に変わることになるのか、理解が難しかったり、納得ができない方もいます

相談支援の担当が変わると伝えることで、混乱することが予想される方の場合は、慎重に伝えるようにしましょう。

最重度の知的障害の利用者さんには、計画相談と言ってもなかなか理解や承諾が難しいと思われますので、施設の職員など、少なくとも周辺の方には了解を得るようにしたいものです。

計画相談はモニタリングの際に新しい担当に同席してもらう

モニタリングの日程調整の際に、電話で担当が変わることを伝えたら、いよいよ面談ですね。

利用者さんには実際に次の担当者に会ってもらい、顔合わせをしながら面談すると、スムーズに引継ぎが済みます。

新しい担当職員にとっても、利用者さんの人となりを分かってもらうための良い機会になるでしょう。書類だけで引継ぎしても、本人像のイメージがなかなかつかないことはよくあります。

人見知りの利用者さんも多いと思いますので、新しい担当職員と3人で会って話すことで、和気あいあいとした雰囲気を作り、次の担当者に慣れてもらいましょう。

地域定着支援は同行や訪問の際に引継ぎする

計画相談以外にも、自立生活援助や地域定着支援など、相談支援専門員が直接支援している利用者さんもいるかもしれません。

自立生活援助や地域定着支援の利用者さんのところには、訪問する機会があると思うので、利用者さんの了解を得たうえで、新しい職員と一緒に訪問します。

筆者も経験があるのですが、あらかじめ電話で新しい担当職員に代わることを伝えておいても、いざ会ってみると拒否感を示したり、パニックになったりする利用者さんもいます。

(長時間の説得の上、最後に写真を撮ったり、握手をしてほしいと言われたこともあります)

ご本人の特性を踏まえながら、焦らず慎重に進めていくことをお勧めします。

計画相談の事業所変更の場合は書類を市町村に送付する

計画相談のケースを他の事業所に移管する場合は、「計画相談支援・障害児相談支援依頼(変更)届出書」「契約内容報告書」という2種類の書類を提出しなければなりません。筆者の場合は、パソコンに様式をダウンロードして記入し、支給決定している各市町村の障害福祉課宛てに郵送しました。

小さな町村では自治体のホームページからダウンロードできないところもあるのですが、電話で確認したところ、ほかの市町村の様式を使っても構わないという自治体がほとんどでした。

請求の関係も絡んでくるため、送付する前に念のため、市町村にも電話で連絡を入れておきました

手違いの無いよう、「○○さんを○○相談支援事業所に移管するので、後日書類を送付します」「〇月までのモニタリングまではうちで担当し、その次からは○○相談支援事業所さんに担当してもらいます」と伝えておくとスムーズに移管することができます。

また、書類は移管先の事業所でも用意してくれているかもしれないので、二重に送付されることが無いよう、どちらの事業所から送るのか、決めておくと良いでしょう。

(通常は、利用者さんのデータを持っており、移管を依頼した事業所が責任をもって手続きすることが多いかと思います)

この流れで移管していくと、今のところトラブルになったことはないです。

事業所変更を断られる場合も

注意したいのは、利用者さんによっては、同じ事業所で計画相談をしてほしいという方もいるという点です。

筆者がこれまで引継ぎした利用者さんの中には、退職や休職によって担当職員が変わるのは仕方ないけど、事業所は変えないでほしいという方もいました

特に変化が苦手な方に、その傾向がみられると思います。

事業所変更を断られた場合は、無理強いすることはできません。ほかの利用者さんを移管することで、ケースの数を調整していきましょう。

この記事では、相談支援専門員が退職や休職をする時の引継ぎをしていく流れについて、ポイントを解説してきました。初めて引継ぎしたり、別の事業所に移管するとなると、流れが分からず戸惑うこともあるかもしれません。この記事が引継ぎをするための参考になれば幸いです。

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