福祉の仕事をしている方や、これから目指す方の中には相談支援事業所で働いてみたいと考えている方もいらっしゃると思います。
地域の相談支援事業所で働く相談支援専門員は、障がい者や家族からの相談を受け、適切な制度や福祉サービスに繋げる役割を担っています。
実際に相談支援事業所で働く筆者が、実際にどのようなスケジュールで働いているか、一例を紹介します。筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/
- 相談支援専門員ってどんな仕事?1日の働き方を紹介
- 相談支援専門員の具体的な仕事内容と1日のスケジュール
- 面談や訪問、会議に出席も
- 相談支援専門員が行う直接支援について
- 地域移行支援について
- 他職種連携について
- イメージをさらに膨らませるために
1,相談支援専門員ってどんな仕事?1日の働き方を紹介
この記事を読んでいる方の中には、相談支援専門員の仕事内容について、具体的なイメージがまだ湧かないという方もいるかもしれません。
相談支援事業にはいくつかの種類があり、具体的な仕事内容は事業所がどの業務を請け負っているかによっても異なります。
しかし、多くの事業所は利用者さんが福祉サービスを利用するための「サービス等利用計画」を作成することによって、収益を得ています。
その他に「地域相談支援」や「自立生活援助」などの事業を自治体から請け負うことで、事業所を運営しています。
この記事では、そのような業務を1日の中でどのように回しているか紹介していきます。
2,相談支援専門員の具体的な仕事内容と1日のスケジュール
まず仕事内容としては、サービス等利用計画を作成するために、利用者さんと面談を行い、その結果を基に計画の書類をパソコンで作成していきます。
そして書類が整った段階で再び利用者さんに会い、本人同意欄にサインをもらってから自治体に提出します。
新規の方が福祉サービスを利用するためには単に書類を整えればOKという訳ではなく、実際に利用する事業所に空きがあるか問い合わせたり、見学・体験に同行したりもします。
いわゆる、連絡・調整業務です。ご本人に比較してもらうためにいくつかの事業所を見て回ることもあります。
これまでも福祉サービスを利用していて、更新する方は現状のサービスに不満がないか、他に困っていることがないかを面談で確認し、更新していきます。
その他に福祉サービスについて相談に来られる方の対応などもあります。
3,面談や訪問、会議に出席も
1日のスケジュールの例としては、午前中に1~2件面談・訪問を行い、午後に関係者が集まる会議に出席したりします。
書類を作成するための事務作業はその合間に自分で時間を見つけて行うことが多いです。ですから、パソコンで書類をどんどん作成していかなければ仕事が溜まっていってしまいます。書類の提出期限もあるので、守れるよう早め早めを意識して行動していくことが大切です。
筆者の場合は1件の計画につき、およそ1時間程度で作成しています。
施設と異なり、相談支援専門員の業務では夜勤する必要がありません。
時々利用者さんがフルタイムで働いているため、夜しか面談できないという方もいます。そのような場合は残業して対応することもあります。
また、毎年4月1日から福祉サービスを利用したいというケースが増える傾向にあり、利用開始日に間に合うよう調整していくため、どうしても3月は忙しくなりがちです。
地方では運転して訪問することが多い
相談支援専門員は利用者さんの自宅に訪問したり、市役所に行って申請したりするなど、外勤もあります。
利用者さんは障害や病気などによってみずから移動することが難しい場合もあります。
例えば車いすユーザーや知的障害のある方などです。
それぞれの状況も考慮しながら、ほとんどの相談支援事業所では利用者さんが希望すれば訪問による面談も対応しています。
担当エリアの中で色々なところに自分で行かなければならないので、地域によっては普通運転免許が必須となります。
面談では利用者さんの現在の生活状況のほか、これまでの生活歴などについても聞いていきます。利用者さんが緊張している場合もあるので、なるべく面接のような堅苦しい雰囲気を取り除き、和やかに聞いていきたいものです。30~40分かけて必要なことを聞き取った後は、雑談をすると、その中でご本人の価値観が見えてくることもあります。
4,相談支援専門員が行う直接支援について
相談支援というと、ここまで紹介してきたような、面談や訪問、福祉サービスの申請などが主な業務とイメージされる方が多いかと思います。しかし、相談支援専門員が担う直接的な支援もあります。
それは、利用者さんのニーズが、福祉サービスに当てはまらない時に発生することが多くあります。
例えば、買い物の同行や、ゴミ屋敷の清掃などがあります。
通院の送迎であればヘルパー事業所に依頼することができるのですが、買い物に関してヘルパーは代行のみで、同行まではできない場合があります。そこで、ご本人がどうしても店舗で選びたい場合や家具などの大きいものを買う時は、相談支援専門員が同行する場合があります。
【マニュアル決定版】福祉の仕事で利用者に通院同行する時のポイント5選
ゴミ屋敷の清掃をしなければならないことも
ゴミ屋敷の清掃は、ご本人が清掃業者に頼めるお金を持っていればよいのですが、お金がない場合、誰も片づけてくれませんので、相談支援事業所が対応しなければならないこともあります。荷物の整理は、障害によって一人暮らしが難しくなり、グループホームに入る場合などに発生することが多くあります。
福祉サービスで対応できないということは、報酬が発生しないということでもありますので、どこまで対応するかは、事業所の判断となります。このように、相談支援専門員はコーディネート役だけではなく自ら動かざるを得ないケースが時々出てきます。
5,地域移行支援について
近年では、障害があっても地域で暮らせるような社会づくりが必要という国の方針の下、地域移行支援が活発に行われています。具体的には、精神科病院から退院したり、障害者施設から退所したりするケースが当てはまります。退院・退所後に1人暮らしをする場合もありますが、グループホームや宿泊型自立訓練事業所に入る場合もあります。
ご本人の生活能力や希望に合わせてケースバイケースで動いていくことになります。
時間をかけて新生活を開始
退院・退所の意思を確認してから打ち合わせを繰り返し、ご本人に合った住まいや福祉サービスにつなげるため、新たな生活が始まるまで数か月間かかる場合がほとんどです。
その際、病院や施設の職員と連携しながら、相談支援専門員がリーダーシップを取ることも多くあります。
住まいを見つける場合は保証人が見つからないなど、地域移行支援を行っていく中での壁にぶち当たることもあります。
困った時は病院や施設の職員との連絡を密にし、相談することが大切です。
6,多職種連携について
ここまで相談支援専門員の仕事内容を紹介してきましたが、どのような業務においても重要なことは多職種連携です。
行政や病院、社協、民生委員など、様々な機関との連携が必須となります。
いきなり連携と言っても難しいかもしれませんが、数年間、相談支援専門員の仕事を続けていれば、周囲に顔を覚えてもらえるようになるので、連携が取りやすくなっていきます。
新人の相談支援専門員が、いきなり地域移行支援を1人で担当するのは大変ですから、先輩の相談支援専門員を頼りつつ、慣れていくことが大切です。
行政や病院など、それぞれの立場によって考え方や価値観が異なる場合も出てくるでしょう。しかし、それぞれの考え方を理解しながら役割分担ができれば、支援もうまくいくケースが多いように思います。
7,イメージをさらに膨らませるために
ここまで、相談支援専門員の仕事内容や1日のスケジュールについて紹介してきました。
スケジュールに関しては面談の日程も自分で決められることが多いので、家庭の用事とも両立しやすいと言え、女性も働きやすい職業です。
さらにイメージを膨らませるためには、実際にどのような求人が出ているかを確認することをお勧めします。
その中で気になる事業所があれば、応募までしなくても見学させてくれるところもあります。まずは色々な相談支援事業所を見学してみるのも良いでしょう。
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