現在は福祉とは全く違う仕事をしているけど、これから社会福祉士の資格を取って福祉の仕事に就きたいと考えている方もいると思います。福祉の実務経験はなくても、社会福祉士の受験資格を得て試験に合格することで、社会福祉士の資格を得ることは可能です。
私自身も福祉系大学出身者ではなく、大学の文学部を卒業後、マスメディアで働いてきました。その後、働きながら週末に福祉系の大学(2年制)に通って社会福祉の単位を取ることで、社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取りました。
筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/
私の周りには同じように働きながら勉強を続け、社会福祉士の試験に合格した人がたくさんいるので、その過程を紹介していきます。
- 社会福祉士の受験資格を得るまで
- 働きながら通信制大学(養成施設)に通う
- 職場から理解を得る
- 通信制大学の申し込み、受験方法
- 大学のスクーリングで学ぶ
- レポート提出について
- 社会福祉士の実習は大変?
- 社会福祉士の試験に申し込む
- 社会福祉士合格に必要な時間数は
- 実務経験を積みたい方は
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1,社会福祉士の受験資格を得るまで
社会福祉士になるには、年に一度行われる試験に合格しなければなりません。試験は誰でも受験できるわけではなく、福祉系の大学出身者や、実務経験を積んだ方などが該当します。
下の図のように、受験資格を得るには様々なルートがあります。自分の学歴と照らし合わせて、最短で受験資格を得ましょう。
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2,働きながら通信制大学(養成施設)に通う
社会人の場合、会社を退職して福祉系大学に通いなおすことは経済的にも大変だと思います。そこで実務経験がない場合、多くの方は働きながら、夜間や週末に養成施設で勉強する方法を取っています。
社会人向けに大学で開設されている通信制の「社会福祉士養成コース」は、主に土日にスクーリングの日程を設定してくれているところが多くあります。
通信制なので自分のペースで学習を進められる一方、レポートの提出が遅れないよう、自己管理能力も必要です。また、平日は仕事、週末は学校という風にかなり忙しくなるので、体力も必要です。
通いやすい学校を選ぼう
ちなみに、この養成施設は卒業しても学歴にはならないので、学校の知名度などは気にする必要はありません。
基本的にはアクセスが良く、通いやすいところを選ぶのが良いかと思います。
スクーリングは丸1日かかることも多いので、自宅から近いことが1番です。もし迷った場合は合格実績がしっかりしている学校や、学生サポートがしっかりしているところを選ぶのがよいでしょう。
養成施設を選ぶ際には、とりあえず資料をいくつか請求して申し込みましょう。
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3,職場から理解を得る
職場によっては土日に仕事が入ってしまい、スクーリングの日程と重なってしまうということもあるかもしれません。すでに福祉系の職場で働いている場合、養成校に通うことは事前に職場に伝えておくようにしましょう。
異業種ならともかく、福祉の事業所であれば、社会福祉士を配置することで福祉専門職配置加算が取れることがあります。職場にとってもメリットがあるため、上司も応援してくれる場合が多いでしょう。
また、職場によっては学費の一部を補助してくれるところもあるようです。そういった制度があるか確認しておきましょう。
社会福祉士の取得には40代からでも遅くない理由
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4,通信制大学(養成施設)の申し込み、受験方法
通ってみたい養成施設が決まったら、早速申し込みます。一般的には春の入学となりますので、9月ごろまでには申し込みを完了させたいところです。
入学の申し込みでは、所定の書類を取り寄せて記入するほかに、レポート提出を求められることもあります。筆者の場合は、「なぜ社会福祉士になりたいと思ったのか」というテーマで800字ほど書いて提出しました。
養成施設には定員がありますが、よほどの人気校でなければ入学することができることがほとんどです。必要書類は、丁寧に落ち着いて書くことを心掛けましょう。
晴れて養成施設への入学許可が下りると、学校に関する資料やスクーリングの説明、卒業までの流れなどについて書かれた書類が送られてきます。
教科書の購入など、やることが増えてきますが、学校側の指示を一つ一つこなしていけば大丈夫です。
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5,大学のスクーリングで学ぶ
学校側からはスクーリングの日程について案内されます。スクーリングを欠席してしまうと単位が取れないこともあるので、家族や職場の理解を得るようにしましょう。必ず日程を空けられるようスケジュール調整が必要です。
ただし忌引きや入院など、どうしても都合が悪い場合は、翌年に振り替えてくれる場合もあるので、学校の事務室と相談しましょう。
受験仲間を作り、情報交換を
スクーリングでは同じく社会福祉士を目指す人たちが集まっているので、交流していくうちに受験仲間ができたり、資格に関する情報を得ることができます。
週末働いて土日に勉強するのは体力的にも大変ですが、励まし合う仲間を作ることも受験では大切です。グループLINEを作って交流するのもお勧めです。
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6,レポート提出について
養成施設ではスクーリングの他に自宅で各自が学習してレポートを提出しなければなりません。多くは教科書の該当箇所を読んで、内容をまとめれば合格することができます。筆者は社会福祉士養成校でレポート採点の仕事をしたこともありますが、採点基準は比較的甘めです。
ただし自分の考えばかりを述べていると、独りよがりの内容になってしまいます。その場合、再提出になってしまう可能性もあるので、教科書の内容を忠実にまとめた方が無難です。
レポート提出は計画的に
レポートは本数が多く、再提出になってしまうと手間がかかるので、ぜひ一発で仕上げたいものです。筆者の場合、およそ月に2本程度レポートを提出していました。
後半は実習が入ってきてレポートを書く暇がなくなることも考えられるので、締め切りよりも少し早めに、計画を立てて提出していきましょう。
社会人の方は平日働いていると時間を捻出するのが難しいかもしれません。通勤時間や夜の自由時間を上手に活用していきましょう。短いレポートであればスマホで作成して、パソコンにメールで送って大学に提出ということも、できなくはありません。
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7,社会福祉士の実習は大変?
養成施設に通うと、実務経験がない方は「ソーシャルワーク実習」という科目が必須となっており、社会福祉士の実習に行かなくてはなりません。現在は「23日以上かつ180時間以上」行くことになっています。午前9時~午後4時ころまで実習先で実地指導を受け、毎日実習日誌を提出する日々が続きます。
実習先は高齢者施設や障害者施設、児童分野や困窮分野に関する相談センター、病院や福祉事務所などが主です。基本的には実習先は養成校の先生が調整役になってくれますので、担当の先生に希望を出し、早めに日程を調整してもらいましょう。
【実録】就労継続支援事業所での社会福祉士実習の実際をお伝えしますhttps://fukushilabo.com/syahuku-zissyu/
早めに職場との調整を
社会人の方は、平日に働いて土日にスクーリングに行きたいと考える方もいるかと思います。
しかし実習はスクーリングとは異なり、土日だけ実習に通うことは難しいのが現状です。それは、実習先の施設が平日しか開所していないところも多くあるからです。
社会人の方は仕事をほぼ1か月間休んで実習に行くことがほとんどかと思います。なかには仕事がどうしても休めず、資格取得を断念することになったり、退職してしまう方もいます。トラブルにならないよう、この点も職場の理解を得ておくことが重要です。
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8,社会福祉士の試験に申し込む
ここまで解説してきた通り、社会福祉士の受験資格を得るには養成施設で、スクーリング、レポート提出、実習の3つのカリキュラムをこなすことが求められます。必要な単位を得ることで、国家試験の受験資格を得ることができます。また、要件を満たせば精神保健福祉士と同時に受験することも可能です。
社会福祉士を取得するには、内容はそれほど難解ではなくても、とにかく履修する科目数が多いということも特徴的です。
途中で単位が足りないということが無いように、計画的に進めながら、国家試験の勉強もしなければなりません。
そのためスケジュール的にも体力的にも辛い時も出てくるかと思いますが、最後まであきらめずに取り組んでほしいと思います。
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9,社会福祉士合格に必要な時間数は?
これらを乗り越え、いよいよ国家試験に申し込み、合格・登録することで晴れて社会福祉士と名乗ることができます。合格するには約300時間の学習時間が必要と言われています。1年間勉強する機関があれば1日1時間、半年間集中して勉強するなら1日2時間という計算になりますね。
お勧めの勉強方法は過去問を3年間分を解き、自分の得意・不得意の分野を確認していくことです。さらに間違えた問題を復習しておくことで、苦手を克服することができるでしょう。また、試験は時間数が足りなくなるという方もいるので、時間内で問題を解く練習も必要です。
模擬試験も受けておこう
模擬試験は必ず1回は受けておくことをお勧めします。ネットで申し込むと、自宅で受験できる模試もあります。
社会人の方は勉強時間を確保することも大変かと思います。社会福祉士の国家試験対策問題を解くアプリも配信されているので、通勤時間などを活用してアプリで学習することも良いでしょう。
10、実務経験を積みたい方は
社会福祉士を取るには、国家試験の勉強をする前に、まず必要な単位を取ることが大変だと感じた方もいると思います。全く別の業界で働いている方にとっては、まず福祉の仕事をイメージしながら学びたいという方もいるのではないでしょうか?
実際、筆者も無資格の状態で、福祉施設で働きながら養成施設に通いました。退職前は有給を消化しながら、実習に通っていた期間もあります。
福祉関係で働いている方が、実習に行く時に職場から理解を得やすいというメリットもあります。福祉業界は人手不足なので、資格や経験が無くても雇ってくれる事業所は多くあります。
もし福祉関係で働いてみたいという方は、実際に転職までしなくても、まず転職の情報を集めることがお勧めです。
福祉関係に関心がある方は、非公開求人多数の専門の求人サイトに登録だけでもしてみてはいかがでしょうか?