相談支援専門員として、地域生活を送る障がい者の中でも、生活保護世帯を支援することになった時、「具体的にどう支援したらよいのだろう?」と悩んでしまう人もいると思います。
生活保護の受給には一定のルールがあるため、受給していない世帯を支援するのと比べ、気を付けなければならない点がいくつかあります。
この記事では、社会福祉士として3年以上、生活保護世帯を支援してきた筆者が、支援のポイントを厳選して紹介していきます。
1,障がい者の生活保護世帯はどう支援する?ポイント5つを厳選紹介
2,受給額の中で生活できるよう金銭管理・助言
3,生活保護課のワーカーとの連携
4,医療費は無料でも入院するとお金がかかることも
5,年末に財産申告する時の注意点
6,貯金しすぎると生活保護の受給停止も
7,非課税世帯への支援金が入ったら
1,障がい者の生活保護世帯はどう支援する?ポイント5つを厳選紹介
生活保護を受給している世帯が、ほかの世帯と大きく異なる点はいくつかあります。
例えば、借金ができないので生活保護の受給額の中で生活を維持しなければならないことや、健康保険の対象にならないため受給者には保険証が無く、病院での医療費は無料となることなどがあります。ただし生活保護受給者は健康の維持に努めなければならないという決まりがあります。
生活保護世帯の生活というのは、福祉の仕事をしていないと、なかなか知らないことばかりなのではないでしょうか。これらのルールを守ったうえで、利用者さんの生活を支えていかなければなりません。
ここからは早速、相談支援専門員としてどのようにサポートしていくべきか、解説していきます。
2,受給額の中で生活できるよう金銭管理・助言
相談支援専門員として生活保護世帯を支援することになった場合、利用者さんは障がいがありながら地域生活を送っている方が多いのではないでしょうか。
その場合、障害年金で足りない分を生活保護で補うケースが多いかと思います。
生活費は毎月限られているので、その中で生活していかなければなりませんが、障がい特性を起因として、そのことを理解するのが難しい場合もあります。中には高価なものを買いたがる方もいるでしょう。
以前筆者が支援していた方は、毎月前半に全ての生活費を使い切ってしまい、次の生活保護費が入金されるまで、カツカツで生活していました。そうなると、ご本人も大変な思いをすることになるので、なるべく計画的に使えるようにしたいものです。お金の用途や、使う日付を記入した封筒に現金を小分けにするなどの工夫が必要でしょう。
利用者さんに理解してもらうのは難しいこともあるかもしれませんが、なるべく分かりやすく説明し、高価なものは買えないということについて納得してもらう必要があります。
相談支援専門員の知らないうちにご本人が既に購入してしまったという場合は、クーリングオフ制度を使って返品することも検討していきましょう。
3,生活保護課のワーカーとの連携
日々の生活費や節約について、ご本人から理解を得られない場合は、相談支援専門員1人だけで説得を続けていても、疲弊してしまいます。
その時は、役所の生活保護の担当ワーカーにも同席してもらい、ご本人と話し合う場を設けると効果的です。
第3者から説明してもらうことで、ご本人も納得しやすいことがあります。
生活保護課のワーカーとの連携では、病院の通院でも役に立ちます。例えば、利用者さんが高血圧なのにも関わらず、自覚症状がないため通院を拒んでいたとします。
生活保護受給者は健康の維持に努めるというルールがあるので、生活保護課のワーカーからも、通院するよう説明してもらうことが可能です。
このように、生活費だけでなくご本人の生活全般で何か困ったことがあれば、その都度情報交換をしていくと、連携がうまくいきます。
4,医療費は無料でも入院するとお金がかかることも
生活保護の世帯の人は医療費が無料になるので、どんなに入院・通院しても大丈夫だと思っていると、大きな落とし穴があります。
入院する時に医療費に含まれない経費が発生することがあるので、その時は自己負担となります。
例えば最近入院すると、タオルや入院着などすべてが一式になった「アメニティセット」を使うよう、病院側から説明を受けることがあると思います。
アメニティセットは「1日あたり○○円」という計算で請求されますので、入院期間が長くなればなるほど、自己負担の金額も大きくなっていきます。
さらに、入院後、退院できなくなった場合は普段生活している賃貸住宅を引き払うことも検討しなければなりません。
しかし、退院のめどがあれば、普段生活している賃貸住宅の家賃や、電話の基本料金はずっと支払っていかなければなりません。
5,年末に資産申告する時の注意点
生活保護を受給していると、毎年年末までに、役所に資産申告を提出しなければなりません。資産申告では、その名の通り、預金口座の金額や手元に持っている現金の金額のほか、土地や宝石、車など、資産価値のあるものを保有していないことを申告する制度です。
ここで、資産価値のあるものを持っていることが分かると、生活保護を受給できなくなってしまう恐れもあります。
お金や土地などは資産として分かりやすいのですが、親族や知人などから定期的に仕送りや食べ物の差し入れをもらっているということも、生活保護費の減額の対象になり得ます。
「生活が大変そうだから」という理由で、食べ物を差し入れたり、寄贈したりすると、後から問題になる可能性もあるので、気を付けなければなりません。
6,貯金しすぎると生活保護の受給停止も
生活保護を申請する時の基準は自治体によって異なると思われますが、筆者の場合「口座にある預金額が4万円を切った段階で申請できます」と役所で言われました。それほど生活にひっ迫した状態でないと申請が難しいということですね。
生活保護を受給していると、最低限の生活を送るだけで精一杯という方がほとんどだと思います。しかし、衣類などをあまりにも購入していないと、毎月貯金額が増えていっているという方が時々います。筆者が支援した方の中には、高齢になってから物欲が減って食材以外ほとんど何も買わずに過ごしていたところ、生活保護世帯でも貯金が増えたという方がいました。
何年も受給し続けて預金額が貯まっていくと、当然のことながら役所としては「生活保護を受ける必要性があるかどうか検討しなければならない」という立場になるそうです。
自治体によっては預金額が50万円を超えた段階で一端生活保護を停止するというルールを設けているところもあります。
一端停止されてしまうと、再度預金額が減った段階で申請し直さなければなりません。障がいがあるためご本人が自ら申請することが難しい場合は、相談支援専門員が代理で行う場合もあります。
7、非課税世帯への支援金が入ったら
近年の物価高やコロナ禍などを背景に、国から非課税世帯に対して支援金が支給されることがあります。このような公的な支援金も収入とみなされる場合があるので、毎月の収入申告の欄に記入しておくと安心でしょう。
貯金が全くない場合は、いざという時のために支援金をそのまま貯蓄に回しても差し支えないようです。ご本人にとっては大金ですので、有意義に使いたいものですね。
この記事では、相談支援専門員として生活保護世帯を支援する時のポイントと注意点について解説してきました。
生活保護のワーカーと連携を取ることで、障がいと貧困という2つの困難さを持ち合わせた生活をしっかり支えていけると良いですね。
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