介護の仕事をしている人の中には、「有名人って多忙な中でどんな風に介護しているんだろう?」と考える人もいると思います。日本には介護を家族の問題と捉えがちで、「恥の文化」があるので、介護についてはなかなか公にしてこなかった風潮がありますよね。
この記事では、社会福祉士である筆者が、テレビ番組で自身の介護経験を明かしたハリー杉山さんのコメントを基に、有名人の方も普通の人と同じように介護の問題に直面しているということを紹介していきます。
- 介護経験を語るハリー杉山さん 認知症の父親を在宅介護3年
- 親の介護をしている芸能人は少なくない
- 在宅介護の問題に直面するのは芸能人も同じ
- 赤裸々に打ち明ける姿に共感
- 介護経験の公表による影響
- 介護経験を生かして今後の活動にも期待
介護経験を語るハリー杉山さん 認知症の父親を在宅介護3年
情報番組や教育番組などで幅広く活躍するタレントのハリー杉山さん(38)は、2023年6月28日に放送された「いきざま大図鑑」のスタジオゲストとして登場。同番組では、ゲストの人生の岐路におけるそれぞれの悩みや葛藤、それに対する決断を、VTRを交えて紹介しています。
今回はゲストのアグネス・チャンさんの終活に密着するコーナーで、ハリー杉山さんが3年間、認知症の父親を在宅介護し、去年看取ったことを明かしました。
介護や福祉の現場で働く人は、職場で介護することで、その大変さを知っています。
職場の場合は退社すれば介護から離れられますが、家族の場合、特に在宅介護はそうではありませんよね。
家族だからこそ感じる苦しみについて、包み隠さず語るハリー杉山さんに共感の声が上がっています。
親の介護をしている芸能人は少なくない
芸能人であっても一般人であっても、親が高齢になっていくのはみんな同じです。そのため、芸能界での活動の傍ら、影で介護をしている芸能人は少なくありません。
元アイドルの新田恵利さんや女優の菊池桃子さんも介護経験を公表していますし、最近では自身のyou tubeで介護の苦労を明かす方もいます。
介護は親が高齢になる年代である、50~60代に多くの人が直面する問題というイメージがありますよね。
ハリー杉山さんは30代で介護を経験されているので、周囲に比べ早かったのではないでしょうか。自分自身の周りにも同じように介護している人がいると、悩みを共有できます。しかし、介護している人が周りに誰もいないとなると、悩みを打ち明ける機会がなく、より辛いかもしれません。
30代だと働き盛りでもあり、自分自身の仕事やプライベートで忙しい時期なので、介護との両立は相当大変だったのではないかと想像されます。
在宅介護の問題に直面するのは芸能人も同じ
「芸能人のように、お金を持っていれば親に介護が必要になっても、高級な施設に預けることができるのでは?」というイメージがあるかもしれません。
もちろん色々な施設を見学して、気に入った施設がすぐに見つかれば、そのような対応をされる方もいるでしょう。
しかし実際は、親御さんご自身が自宅で暮らしたいと強く望む場合や、家族も自分たちで介護したいと希望される場合もあります。家族によってケースバイケースと言えますね。
また施設によっては介護保険の介護度によって、入居できるかどうか決まってくるので、そういった制度上の問題から、入居が難しく、在宅介護せざるを得ないこともあります。
通常の高齢化による影響だけではなく認知症の症状が出ている場合は、火を消し忘れたり、1人で出かけて戻ってこられなかったりする可能性もあるので、1人での介護を背負い込むのはかなり負担を要します。
そのため認知症患者を自宅で介護する場合は、家族や介護サービス事業所の協力が必要となり、場合によってはご近所の人や警察、家族の職場関係者にも理解してもらうことが大切となります。
赤裸々に打ち明ける姿に共感
番組内でハリー杉山さんは父親のヘンリーさんと、将来どのような介護を受けたいとか、看取りに関する希望については話し合う時間や機会がなかったといいます。検査した時にはパーキンソンの症状が既に始まっており、認知症と診断された経緯について語りました。
父親が認知症になったことで、ハリー杉山さんとしては父親のことを一生懸命、お世話しているつもりでも、拒否されたことが何度もあったといいます。
その時のことについて、ハリー杉山さんは「自分にとって一番大切な人が、急に自分にとって一番の敵のようになってしまった」と、父親の変貌ぶりを振り返りました。父親から殴られそうになった時には、「最初はショックでした。こっちも認知症の知識とかがないからカッとして、あと一歩で親父のことをぶん殴りそうなところまでいっちゃった」といい、当時の気持ちを包み隠さず語ってくれました。介護や病気について専門知識があれば当事者のことを理解し、冷静に対応することができますが、急に認知症と診断されて対応しろと言われても、難しい部分があったのでしょう。
こうした経験から、ハリー杉山さんは、介護のことで困った事があるときは、事前に話し合ったり、積極的にプロの助け(介護保険)を利用する重要性を訴えました。
スタジオにいる司会や他のゲストの方たちも真剣な顔でうなずいていた事からも分かるように、介護の問題はいつか誰しもが直面する物だということを、改めて教えてくれたような気がします。
ご本人が介護を拒否することは在宅介護ではよくあることですが、こうした家族ならではのエピソードが語られると、同じ立場の人にとっては「うちだけじゃないんだ」と思えますし、多くの視聴者に勇気を与えられそうです。
介護経験の公表による影響
時代の流れから以前よりも病気や障がいに対する理解が広がり、多様性のあるバックグラウンドや経験について公表しやすくなっている雰囲気はあります。
ハリー杉山さんのように、介護経験を公表する芸能人は増えていますが、今後の芸能活動への影響はあるのでしょうか。
もしハリー杉山さんが、今後も介護について積極的に情報を発信していきたいのであれば、介護や福祉に関する仕事が増えていくかもしれません。
例えば厚労省が主催するシンポジウムで登壇したり、ニュース番組のコメンテーターとして介護や福祉のテーマでコメントしたりすることなどが想定されます。これまで以上に活躍の場が広まることは楽しみですね。
影響力のある人が介護について正しい情報を発信してくれると、介護施設の暗いイメージが変わったり、認知症当事者への理解が深まったりするなど、良い影響が期待できるかもしれません。
今回ハリー杉山さんはかなり率直な言葉で介護の苦労を語られましたが、そういった経験談を聞くことで、これから親の介護をしていく人にとっては「うちも早めに準備して、本人と話し合っておこう」と、心の準備ができるかもしれませんね。
介護の経験はあくまでプライベートなことなので、積極的に発信していくかどうかはご本人の考え次第かと思います。しかし、ハリー杉山さんのように隠さず、勇気をもって発信くれる人が増えていくと、介護というテーマが家族だけの問題ではないということに気が付き、社会全体で考えていく良い循環ができそうです。
ハリー杉山さんの言葉を聞いて、介護はご本人だけではなく、家族のことも支える仕事なんだということを改めて実感しました。
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