介護・福祉の現場で働く人の中には、「なぜ一生懸命働いても給料が安いままなんだろう」 と考える人もいると思います。福祉業界には、給料が安い原因がいくつかあります。しかし、プロフェッショナルとして働いている以上、技術に見合った給料をもらえるよう改善を求めていくのは当然の権利です。
この記事では、社会福祉士として働く筆者が、「福祉の仕事の給料がなぜ安いのか?」という疑問にお答えするとともに、福祉職でも給料を上げる対策を解説していきます。
1,福祉の給料はなぜ安いの?原因と対策を解説
2,収入源が決まっている
3,非営利で運営するよう制度設計されている
4,離職者が多いので採用コストが高い
5,対策1 資格を取り、資格手当をもらう
6,対策2 資格を生かした副業を行う
7,対策3 資格や経験を生かして転職する
1,福祉の給料はなぜ安いの?原因と対策を解説
福祉業界の収益構造には、ほかの民間企業と異なる業界ならではの特徴がいくつかあります。
筆者はそこにこそ、福祉の仕事の給料が安い原因があると考えています。
「福祉の仕事はやりがいがあって好きだけど、給料が不満…」という方は少なくないと思います。働き手も人間ですから、不満を抱えたままでいるのは嫌ですよね。
給料が安い原因が分かれば、対策も立てやすいはずです。
それでは早速、福祉業界の収益構造の特徴と、収入を上げていくための対策を紹介していきます。
2,収入源が決まっている
ご存じの方も多いかもしれませんが、福祉の収入源は主に国からの支援費のみとなっています。ほかの民間企業では在庫がある限り、商品をたくさん販売することができますが、福祉サービスはそうはいきません。
福祉事業を行っている企業の中にも、多角化経営の戦略で、収益源をほかにも持っているところはごく一部ですが、存在します。しかしほとんどの福祉事業者は、福祉施設の運営を専門で行っているのが現状です。
収入源が限られていると、より多く稼ぐことは難しく、収入の天井が決まっている構造になっています。ですから、人件費に回せる金額も一定となってしまっているのです。
経営が大変なので無理やり収入を増やそうとして、水増し請求を行った結果、行政処分を受けて事業所の閉鎖に追い込まれる―といった事例も後を絶ちません。
優秀な経営者が福祉事業所のトップになれば、ほかにも収入源を確保することができるかもしれません。
しかし、ほとんどの福祉事業所のトップは、福祉畑の出身者ですから、より良い支援を提供していくスキルは持っていても、営利を目的とした経営的な視点は欠けていると言わざるを得ません。
3,非営利で運営するよう制度設計されている
福祉事業者の収益源は国からの支援費に頼っているということを解説してきました。
これは「利用者さん1人を1日支援した場合、○○円」というように、価格が決まっているものです。
利用者さんの人数によって支援費が決まっているんだったら、「大規模化して、たくさんの利用者さんを集めれば儲かるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、沢山の利用者さんを支援したとしても、福祉事業では、利用者さんの人数に応じて「〇人の職員を配置しなければならない」という職員配置基準が定められています。
特に社会福祉士などの資格を持った福祉専門職を配置した場合の加算もあり、ただ働き手を集めればよいというものでもありません。
沢山の利用者さんを支援するためには多くの人手が必要になり、結果的に人件費も膨らんでいくという構造になっているので、収益を伸ばすのは難しくなっています。ただ単純に「これからは超高齢化社会が来るから儲かりそう」という理由だけで、福祉事業に参入するのはお勧めできません。
4,離職者が多いので採用コストが高い
ここまで、福祉事業の収益構造について解説してきました。
筆者は福祉業界で働いていて、「コストをもう少し抑えることができれば、人件費に回すことができるのではないか?」と考えることがあります。
特に福祉事業所がお金をかけているのが、職員を採用するためのコストです。新卒者の採用だけではなく、離職者の穴埋めをするために通年で採用活動を続けているのが常態化してしまっています。
具体的にどのような点で採用コストを掛けているのかというと、やはり求人広告が多い印象です。
最近では地域の雑誌だけではなく、インターネット上での求人も多くあります。福祉事業所で働いていると、「求人広告費だけで、毎月数十万円もかかっている」という話もよく聞きます。
定年退職があるのは仕方のないことですが、毎月のように退職者が出てしまうのは問題です。採用も重要ですが、職員の定着率を上げる努力をすることが、福祉事業所のコストを抑えるポイントになるはずです。
職員に長く働いてもらうためには、働きやすい職場づくりをしていく必要があると考えます。
ここまで、福祉事業所の収益構造とコスト増の問題について解説してきました。
福祉事業だけの運営では、職員の給料を上げることは、なかなか難しいという現状がお分かり頂けたかと思います。
ここからは、福祉事業所で働く場合、どうすれば給料アップにつながるか、解説していきます。
5,対策1 資格を取り、資格手当をもらう
福祉事業所の中には、資格手当を設けているところと、そうでないところがあります。もし就職するのであれば、資格を取ってきちんと手当が出るところに就職するべきです。
手当自体は毎月5000円程度と、それほど多くないと感じるかもしれません。
しかし1年単位、数年単位で見ていくと、大きな差になっていきます。
職場に資格手当がない場合は、そのことを指摘し、手当を作ってもらえるよう職場長と交渉していきましょう。資格を取得するための費用を会社が持ってくれる場合もあります。
お得な制度は自分から申請しなければ使えないことが多いので、学費や教材費を節約できないか調べてみるのも一考です。
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6,対策2 資格を生かした副業を行う
日本では社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士の3つが福祉系の国家資格として認められています。これらの資格があれば、色々な副業が可能になります。
例えばフルリモート勤務でも、精神保健福祉士として企業から、休職中の社員と面談する業務を請け負うことも可能です。副業を探すには「社会福祉士 副業」「精神保健福祉士 フルリモート バイト」などで検索すると、自分に合った副業を探すことができます。
近年では国家資格のほかにも、時代のニーズに合わせて「引きこもりえ支援士」「発達障害児支援士」など、新たな民間資格が登場しています。
民間資格を取得しても無駄ではないのですが、直接給料のアップは見込めないので、せっかくなら国家資格を取ることをお勧めします。
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7,対策3 資格や経験を生かして転職する
福祉の求人票を見てみると、「経験者優遇」という文字が躍っていたり、応募要件に「実務経験〇年以上」と指定されたりしていることがあります。
資格や経験があれば、好待遇の求人に応募することも可能になりますので、良さそうな職場があれば思い切って転職するのも良いでしょう。
ただし現在の職場に不満をもって、やみくもに転職すると、公開してしまう可能性もあります。福祉職としてさらなるステップアップを目指し、前向きな転職を目指していきましょう。
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