障がい者の当事者団体はどう運営する?方法や活動資金源を紹介

相談支援

福祉施設に勤務していて、当事者団体の支援者の担当を任された時、団体の運営ってどうやるのか、戸惑ってしまう方もいると思います。

筆者自身も数年前に前任者が退職したのをきっかけに、ほとんど引継ぎもないまま知的障害の当事者団体の活動をサポートするよう命じられ、どう関わっていったらよいのか困った記憶があります。

この記事では、「支援者が当事者団体をサポートする時、どのような関わり方をして、運営していけばよいのか?」「活動資金はどこから集めたらよいのか?」という2つの疑問に答えていきます。

筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/

目次

1、障がい者の当事者団体はどう運営する?方法や活動資金源を紹介

2、活動内容は本人たちの希望を聞く

3、遠方への旅行や大会参加も

4、支援者は黒子に徹する

5、本人たちだけでは難しい部分をサポート

6、活動資金は年会費や助成金

7、各地の当事者団体活動を参考に

 1,障がい者の当事者団体はどう運営する?方法や活動資金源を紹介

サークルや町内会など、団体を運営するだけでも大変そうなのに、仕事とはいえ、未経験の方は当事者団体の運営の仕方が分からず、戸惑うことも多いかと思います。

支援者がリードするのではなく、あくまで当事者の方たちが中心となって活動できるようにしなければならないところが難しいですよね。

この記事では、社会福祉士として3年以上当事者団体をサポートしてきた経験のある筆者が、団体の活動内容や支援者の関わり方について解説していきます。

 

2,活動内容は本人たちの希望を聞く

障がい者の当事者団体は各地にたくさんありますが、その活動内容は様々で、活動ペースもご本人たちに合わせて無理せず運営していくのが基本のようです。

筆者が関わっているのは、知的・発達障害の方たちを中心とする団体ですが、活動内容は原則ご本人たちが会議を開いて決めることになっています。会議の日程調整もご本人たちに行ってもらい、日程が決まったら支援者が会場を予約するという流れで行っています。

歴史のある団体なので、活動内容は基本的に前年度を踏襲する形ですが、毎年少しずつアレンジが加わっています。

会員の中から役員を決め、役員が中心となって話し合いを行います。話し合いの結果は、年に1回の総会を開き、会員向けに役員が説明し、決議を得ます。

このように、中学校の生徒会のようなイメージで運営するのが一つの方法です。この団体は会員数が約100名と人数が多いため、このような形を採っています。しかし、会員が10名程度と小規模の場合は、役員制を採る必要がないので、メンバーみんなでミーティングを開いて和気あいあいと決めているそうです。

3,遠方への旅行や大会参加も

具体的な活動内容としては、歓迎会や忘年会などのお楽しみイベントや、旅行、ボランティア活動などがあります。

筆者が関わっている団体では、かつては海外旅行に行っていた時代もあったそうですが、近年はご本人たちの経済的状況や、仕事の都合などで長期間の旅行は難しくなっているのが現状です。そのため、国内旅行や、近隣の温泉旅行などを楽しんでいます。

国内旅行では3泊4日で行くので、支援者だけですべてサポートするのは難しく、旅行代理店にもお手伝い頂いています。支援者は職員としての本来の業務の合間で、当事者団体の運営サポートを行っているのが現状です。

泊りがけで当事者の大会に参加も

また、障がい者の本人大会が年に数回、都道府県単位のものから全国大会まで、各地で開かれています。大会事務局より、参加者募集の案内が来た段階で参加するかどうか、ご本人たちに聞いて、支援者が代理で申し込みを行っています。

このように、ご本人たちの希望を聞いて参加するので、ある大会には大勢で参加したり、また別の大会には1人しか参加しなかったりと、差が開いてしまいますが、なるべく希望通りに参加できるよう、また、臨機応変に対応するように心がけています。

 

4、支援者は黒子に徹する

活動にあたって、忘年会の出し物の内容や、旅行の行程はなるべくご本人たちに決めてもらうことになっています。

ただ、障がいの特性上、詳細まで詰めることはご本人たちだけでは難しいこともあるので、話し合いが行き詰ったり、脱線したりした段階で支援者が介入するようにしています。

どこから介入するかという判断は、慣れるまでなかなか難しいものです。介入しすぎてしまうと、ご本人たちが意見を述べる機会を奪ってしまいかねません。しかし、ご本人たちに任せていると、いつまでも話し合いが進まないこともあります。

この匙加減をつかむことが、当事者団体をサポートするスキルと言えるのではないかと思います。

 

5、本人たちだけでは難しい部分をサポート

ご本人たちだけでは難しいと思われる部分を手伝うためには、具体的にどのようなことを行っているのか、気になるかと思います。

まず、ご本人たちの中でパソコンをスムーズに操作できる人はほとんどいません。ですから、大会申し込みや物品のインターネットでの購入など、パソコンを使うことに関しては支援者が代理で行っています。(もちろん、団体によってパソコンを使えるメンバーさんがいる場合は、一緒に行っても良いと思います。)

また、忘年会の会場となるホテルとの打ち合わせには、ご本人たちに支援者が1人同行するようにしています。外部の方たちとのやり取りでは、コミュニケーションがスムーズにいかないこともあるので、見守りつつ、つまずきそうな段階でサポートするようにしています。この時、あくまで先回り支援にならないように気を付けています。

さらに、会員の中で車を運転できる人がほとんどいないので、時には物品の運搬や送迎なども支援者が行うことがあります。徒歩や自転車でできることがあれば、ご本人たちにやってもらうようにしていますが、時間の都合で支援者が手伝ってしまうこともあります。

活動は、ご本人たちのペースに合わせて

支援者としては自分たちでやってしまった方が手っ取り早いこともあるのですが、それでは当事者団体としての意味をなさなくなってしまいます。支援者だけで勝手に決めずに、ご本人たちの了解を得ながらサポートすることを心がけると良いかと思います。

 

6、活動資金は年会費や助成金

ここまでお読みいただき、当事者団体がどんな活動をしているか、少しイメージが湧いたでしょうか。

どんな活動をするにしても、必要なのが活動資金です。

筆者が関わっている団体では、資金は会員から年会費として集め、団体の口座に入金しています。ちなみに、口座の管理も支援者が業務の一環として行っています。

そのほかに、市町村から助成金を受けている団体もあるようです。

助成金を受けると、活動計画書や活動報告を提出しなくてはなりません。筆者が知っている団体は、年度末に助成金の中から余った分を市町村に返金する作業があるそうで、返金額が多いと翌年助成金を減らされてしまうそうです。助成金を年度末までになるべく使い切るよう計算しながら活動するのが大変そうだと感じました。

また物品の購入には使えないなど、助成金によってルールがあるようなので、申請する前に確認することが大切です。

使い勝手が悪い場合は、助成金を申請しない方が良い可能性もあるので注意しましょう。

7、各地の当事者団体活動を参考に

この記事では当事者団体の活動内容の一例や、サポートの在り方、活動資金について解説してきました。

今回紹介したことは、ほんの一例にすぎません。その団体ごとの特性や地域性によって、運営方法はかなり異なるかと思われます。

全国各地で当事者団体が活動しているので、これから団体を立ち上げる場合や、活動内容を決めていく場合は、参考にされると良いかと思います。

活動内容を見学させてくれる団体もあるでしょうし、団体同士で交流会を開くことも良いでしょう。

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