社会福祉士として、障がいや高齢の利用者さんと関わっていると、支援者として「○○になってほしい」「○○を目指してほしい」という願いを持つことがあると思います。当然、支援者として、その利用者さんの将来を案じているからですよね。
一方で、利用者さんは自分とは別人格なので、支援者の願い通りに動かないことも多々ありますよね。
そのような時は、支援者として精神的にストレスが高まることもあると思います。筆者自身もこのような場面を数多く経験してきたので、その気持ちがよく分かります。
そこで、この記事では、「利用者さんがなかなか変わらない時、社会福祉士としてどのように対処するべきか?」という疑問に答えていきます
- 利用者さんが変わらない時の社会福祉士としての対処方法5選
- 利用者さんに変化がない原因を探る
- 対策(1)危機感を分かりやすく伝える
- 対策(2)医師など別の人から指導してもらう
- 対策(3)勉強会に一緒に参加する
- 対策(4)支援者が焦らないことが大切
- 対策(5)面談ではなくコーヒーを飲みながら話す
- 利用者さんの気持ちを汲み取ってあげよう
利用者さんが変わらない時の社会福祉士としての対処方法5選
健康や経済的な問題で、利用者さんが現状から変わろうとしない時、支援者として焦ってしまうことはありませんか?
例えば、お酒を飲みすぎているのに飲む本数を減らそうとしなかったり、毎月の収入額よりも支出が多く続いているのに、浪費を止めなかったりすることって、よくあることではないでしょうか。何度も面談しても全く効果が無いとがっかりしてしまいますよね。
この記事では、そのような時の対策を具体的に5つ紹介していきますので、今困っている対象の方を思い浮かべながら、読んで頂けでば幸いです。
利用者さんに変化がない原因を探る
まずは利用者さんが変わろうとしない原因があるはずですので、背景を探ることが大切です。原因がよくわからない場合は、ご本人からだけではなく、家族や友人など、周囲の人から聞くことも一つの手でしょう。
ケース会議を開いて、ご本人に関わっている支援者同士で意見を出し合ってみるのも良いと思います。ケース会議を開くと、自分自身が見ていた利用者さんの像とは、別の姿が見えてくることがあります。そこに、支援していくためのヒントが隠されているかもしれません。
あるいは、現在の利用者さんの姿だけを見るのではなく、これまでその利用者さんが、どのような人生を歩んできたのかを振り返ることによって、ご本人の価値観を理解できることもあります。そして、「利用者さんが変わらない原因は、○○ではないか?」と仮説を立てることで、対策が見つかる可能性があります。
対策(1)危機感を分かりやすく伝える
利用者さんには、既に面談で何度も伝えているのに、それでも変わろうとしないので、支援者として困ってしまうことがあります。
しかし、利用者さんは本当に面談で指導されたことについて、理解しているでしょうか?
外見上は理解しているように見えて、病気や障がい、薬の影響などによって、言葉が頭に入っていなかったのかもしれません。
言葉だけでは伝わらない可能性
筆者が担当していた方でも、面談ではご本人が元気よく「はい、分かりました」と言うので、その言葉を鵜呑みにしていたことがあります。しかし、実は後から全く理解していなかったということが分かったことがあります。
このように、利用者さんは面倒くさいためか、集中力が低下しているためか、色々な要因が考えられますが、面談での言葉が伝わっていないということがあります。
ご本人にとって、分かりやすい方法でもう一度伝えなおしてみることを検討しましょう。
写真やイラストの方が分かりやすい場合もありますし、忘れないように口頭だけではなく、書面で示した方が良い場合もあるでしょう。
数字の理解が難しい方には、グラフで示すと理解できたという方もいました。
資料を作るのは多少手間がかかりますが、ご本人に合った伝え方を検討してみてはいかがでしょうか。
対策(2)医師など別の人から指導してもらう
社会福祉士として、いくらご本人を説得しようとしても、なかなか前に進まないということはよくあります。しかし、ほかの人から伝えると、案外、すんなりと受け入れてくれる場合もあります。
健康上のことであれば、病院を受診して医師から厳しめに現実を伝えてもらうと、ご本人も危機感を抱いてくれることがあります。
きっかけを作り背中を押してあげる
現状から本人が変わろうとしないのは、今時点では困っていないので、やる気が起きないということが往々にしてあります。しかし、ご本人も本当はこのままではいけないと分かっていることがほとんどです。
あとは、危機感を抱くためのきっかけづくりをしてあげるだけなのですが、同じ言葉でも、「誰から言われるか」によって、効果が変わることがあります。
社会福祉士は、誰に言ってもらうか考え、影の調整役を担うことが大切です。
対策(3)勉強会に一緒に参加する
利用者さんに変わってほしいと思うことについて、勉強会が開催されていないか、探してみましょう。
お金のことであれば、ファイナンシャルプランナーの講演会が市民向けに開かれていたり、糖尿病のことであれば、病院主催で医師がシンポジウムを開催したりすることがあります。
そういった勉強会の情報を集め、利用者さんと一緒に聞きに行ってみてはいかがでしょうか。
きっとこれからのヒントになることがあると思います。
利用者さんを誘っても断られそうなときは、ほかの利用者さんも何名か誘って、「○○さんも行くって言ってるよ」と伝えるなど、外堀から固めていくのも手でしょう。
最近はオンラインで専門家の話が聞ける講演会もありますが、タイミングよくそのようなイベントが見つからないという場合もあると思います。その場合は、インターネットの無料動画サイトを活用し、一緒に勉強するのもお勧めです。
利用者さんに対して勉強するよう伝えるのではなく、支援者も一緒に聞くことが大切だと思います。
対策(4)支援者が焦らないことが大切
利用者さんが変わらない時に、ご本人は困っていないけど、周囲の支援者が心配して焦っているという状況がよくあります。ですから、まずそのことを客観的に認識し、支援者があせらないように心がけることが大切です。
ご本人が変わるまで「どっしりと構えて待つ」「なるようになる」という姿勢でいましょう。
そうは言っても、「このままだと利用者さんの所持金がなくなってしまう」といった、切羽詰まった状況では、社会福祉士としては、なんとかしなくちゃと思ってしまうかもしれません。
しかし、ご本人が変わらないのは、支援者だけのせいではありません。タイミングが来れば、ご本人からSOSを出してきたり、支援者が驚くほどの行動力を見せたりします。
むしろ社会福祉士は、「相手(利用者さん)のことを変えられる」という傲慢を捨てるべきです。
対策(5)面談ではなくコーヒーを飲みながら話す
利用者さんが支援者の話を受け入れない時は、支援者と支援を受ける人という関係性が固まっていて、利用者さんからすると、「面談=お説教」のような気持ちでいるのではないでしょうか。
もしあなたが利用者さんの立場なら、お説教はつまらないので、言われた通りにしないですよね。つまり、支援者が面談でいくら正論を言っても、利用者さんは素直に受け入れようとはしないでしょう。
そのような時は、支援者から伝え続けるよりも、利用者さんの本音を引き出す工夫が必要です。
面談は利用者さんの家を訪問するか、相談室で向かい合って話し合うことが多いでしょうか。
それよりも、筆者の経験では、もっとざっくばらんな雰囲気で話すと、利用者さんが本音を話してくれることがあります。例えば、コーヒーが好きな利用者さんであれば、一緒に喫茶店に行ってみることがオススメです。
利用者さんの気持ちを汲み取ってあげよう
支援者として、何とか利用者さんの生活を改善するために、「ご本人の気持ちを変えたい」と思ってしまう気持ちは、よく分かります。
しかし、この記事でお伝えしてきたように、他人のことを変えるのは、なかなか難しいです。まずは支援者自身が変わることを意識してみましょう。
無理に相手のことを変えようとせず、相手の気持ちを聞いて雑談してみることがコツです。
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