就労継続支援B型事業所を運営していたり、働いていたりする人の中には、作業内容や活動を差別化して、利用者を多く集めたいと考える人もいると思います。都会では就労継続支援事業所の数が多いので、特に立ち上げ当初は利用者さんを集めるのに苦労すると聞きます。
この記事では、社会福祉士として多くの事業を目にしてきた筆者が、「どうしたら作業内容を差別化し、魅力ある事業所づくりができるのか?」という疑問に答えていきます。グループホームなど、ほかの事業運営にも参考になると思うので、どうぞ最後までお読み下さい。
- 就労継続支援B型の作業で差別化を図るためには?秘策5つを紹介
- (1)安定した作業量を確保する
- (2)栄養バランスの取れた、美味しい昼食を提供する
- (3)作業内容に楽しみややりがいを見出せるようにする
- (4)季節感を感じられるようなイベントを用意する
- (5)相談体制をしっかりと整える
- 差別化を図り、人気のある事業所に成長させよう
就労継続支援B型の作業で差別化を図るためには?秘策5つを紹介
近年では株式会社なども福祉事業に参入できるようになったことから、以前よりも多様な福祉事業所が増えてきました。事業所の数が増えたことにより、福祉サービスを提供していれば良いというだけではなくなってきました。
安定した事業所運営をしていくためには、定員に近い利用者数を確保し、支援費によって収益を確保しなければならないので、利用者さんに選んでもらう必要が出てきました。
さらに国の制度改正により、事業所が利用者さんに支払う毎月の工賃の平均額によって、支援費にも差がつくようになりました。事業所を安定して運営していくためには、利用者さんを確保することと、できるだけ高い工賃を支払うことが大切です。
それでは早速、魅力ある事業所づくりをしていくための秘策を紹介していきます。
(1) 安定した作業量を確保する
きちんと運営されていない事業所の中には、とにかく利用者さんを集めて、作業らしい作業を提供していなかったというところもあるようです。そうすると、事業所を辞めていく利用者さんが増えてしまいますし、相談支援事業所としても、利用者さんを紹介できません。
そこで、就労継続支援事業所としては、きちんと作業を確保し、毎日利用者さん達が作業を進めるスピードを把握することで、安定的に仕事をしてもらうことが大切です。
仕事量が少なすぎると、利用者さんたちが時間を持て余して困ってしまいます。逆に作業量が多すぎると、利用者さんたちの工賃を高くすることはできるかもしれませんが、納期に間に合わないという事態が発生してしまいます。そうすると、作業を発注してくれる企業からの信頼を失ってしまいかねません。
きちんと納期を守りつつ、利用者さんにも無理をさせないことが大切です。利用者さんたちが全ての量をこなせなかった場合には職員が代わりに作業をしなければならないこともあるでしょうが、職員の負担が増えると不満につながってしまうので、それも避けたいところです。
作業量のバランスを取ることが就労支援事業所を運営していくポイントの一つと言えます。
就労支援B型事業所の商品を差別化するには?https://fukushilabo.com/syurob-sabetuka-2/
(2) 栄養バランスの取れた、美味しい昼食を提供する
就労支援事業所は通常、平日の午前9時頃~午後3時頃まで利用者さんたちに作業を提供することが多いと思います。そこで、ほとんどの利用者さんたちは昼食を事業所で食べることになります。
昼食は作業とは直接関係のないことではありますが、利用者さんたちにとって楽しみになります。仕事内容よりも「昼食がおいしそうだから」という理由で事業所を選ぶ人もいるほどです。
筆者がこれまで見てきた就労支援事業所では、昼食の提供の仕方にいくつかのパターンがありました。
- 無料で手作りの料理を提供する
- 有料(低価格)で手作りの料理を提供する
- 市販の弁当をまとめて注文し、提供する
- 昼食の提供はなく、利用者さんが自分で用意する
- 事業所で提供する食事か、自分で用意するか、選択できる
もちろん1番人気は、無料で温かい料理が食べられるタイプです。しかし、コンビニで弁当を買っても400~800円程度かかってしまいますので、250~300円程度の有料であったとしても、手作りの料理が提供されることは、利用者さんたちにとって大きなメリットになります。
毎月の収入が障害基礎年金と工賃だけに限られていると、栄養があり、美味しい食事を食べられる機会は限られてしまいます。栄養バランスを取るためにも、手作りの料理に人気が集まるのは当然のことと言えます。
どのような事業所運営ができるかというよりも、「自分が利用者さんの立場だったら、どう感じるか?」という視点に立ってみると良いと思います。
(3) 作業内容に楽しみややりがいを見出せるようにする
就労継続支援事業所で行っている作業と言えば、パンの製造販売やカフェの運営、チラシ折りやポスティングなどが多いと思います。
特にチラシ折りや封筒への封入作業、シール貼りなどのいわゆる「内職」に分類される作業は、業者から安定した作業量を確保できるので、多くの事業所で取り入れられています。
しかし、実際にやってみると分かるのですが、集中力が必要な割に作業が単調で、利用者さんたちが飽きてしまうことがあります。
「仕事だから」「工賃がもらえるから」「簡単な作業は自分たちにもできるから」という理由で、利用者さんたちは作業するのですが、お世辞にも楽しくてやりがいのある仕事とは言えません。しかし、やりがいや達成感があり、働く上で喜びを感じたいと思っている利用者さんたちが多いのは人として、当然のことです。
内職の作業が悪いとは言えませんが、内職を事業所の作業として取り入れる場合は、終わった後に労いの言葉を掛けたり、自分たちの作業が社会にとってどのように役立つのか説明したりするなど、何か工夫が必要と言えるでしょう。
(4) 季節感を感じられるようなイベントを用意する
就労継続支援事業所は利用者さんたちにとって職場になるのですが、ただ働くだけだと、1年間が単調になりやすくなってしまいます。
それは事業所に通う利用者さんたちは、障がいや疾患の特性上、自ら趣味を見つけたり、主体的に行動したりできる方ばかりではないからです。
筆者が見てきた事業所の中には、お花見や忘年会など、季節ごとのイベントを用意していることがありました。利用者さんたちの日ごろの頑張りを称えられる機会にもなります。
企画する職員は大変かもしれませんが、利用者さんたちに事業所に通い続けてもらうためにも、お楽しみイベントは用意した方が良いでしょう。
もちろんイベントは必ず出席しなければならないとなると、逆にストレスになってしまう方もいるので、自由参加形式にしたり、2種類のイベントから選択できるようにするなど、配慮が必要です。
(5) 相談体制をしっかりと整える
就労継続支援事業所に毎日通っていると、利用者さん同士の人間関係によるトラブルなど、日々、色々なことが起きます。事業所で何か躓くことがあると、ある日突然、事業所に通えなくなってしまう場合もあります。
そこで、就労継続支援事業所としては、利用者さんが困った時にいつでも、何でも相談できる体制を整えておく必要があります。
筆者が過去に見た事業所では、職員が何名かの利用者さんの相談を受け付け、面談するという「担当制」を採っていたところもありました。
相互の信頼関係がしっかりしていれば、ずっと同じ職員に相談できるという安心感があると思います。
口頭ではなかなか相談しにくかったり、言い出せなかったりする利用者さんもいるので、意見箱を設置するなど、色々な形で相談を受け付けられるような工夫も良いと思います。
就労支援事業所の定員を満たしたい 利用者さんを集める方法15選 https://fukushilabo.com/syuro-riyosya/
差別化を図り、人気のある事業所に成長させよう
筆者は相談員として利用者さんと一緒に色々な就労継続支援事業所を見て回ってきた中で、人気のある事業所と、そうでない事業所の特徴を捉えられてきたかと思います。この記事で紹介してきたような工夫をしている事業所は、定員が常にいっぱいで活気があったり、従たる事業所を作ることで、新たな利用者さんを受け入れたりしています。
就労継続支援事業所は安定した運営を続けるために、色々な工夫が必要だということがお分かりいただけたかと思います。
福祉業界未経験者の方は、いきなり事業所を立ち上げるのではなく、まずは福祉の現場で経験を積むことをお勧めします。
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