相談支援の仕事は大変?相談支援専門員の苦労・ストレス10選を解説

相談支援

相談支援の仕事を目指している人の中には、「相談支援の仕事にはどんな大変さがあるんだろう?」 と考える人もいると思います。きっと大変なこともあるんだろうなと思っていても、具体的にどんなことに苦労するか、想像がつきにくいですよね。

そこでこの記事では、相談員として働いてきた社会福祉士の筆者が、相談支援専門員の知られざる苦労を10個紹介していきます。

筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/
目次
  1. 利用者の定員が無いので断れない
  2. クレームの電話に出なければならないことがある
  3. 急に担当件数が増えることがある
  4. 困難ケースも担当しなければならない
  5. 時期によって忙しさに差がある
  6. オンコール対応がある
  7. 夜間や休日の呼び出しがあることも
  8. 利用者さんが亡くなるなど緊急対応がある
  9. 雑用をこなすことが多い
  10. 常に人手不足の状態が続いている
  11. やりがいも大きい

利用者の定員が無いので断れない

福祉業界にいると、施設や事業所には必ず定員数があると聞いたことがあると思います。

例えば入居施設では、「〇名までしか入居できない、」「利用者数は〇名まで」と決まっています。

定員以上の利用者さんを受け入れてしまうと減算されてしまうため、事業所としては定員を超えると、利用をお断りする場合もあると思います。

しかし、相談支援事業所には定員という概念がありません。つまり、何名まででも受け入れが可能なシステムになっているのです。

利用者さんにとっては相談を断られないので、安心できるかもしれません。ただ、相談支援専門員にとっては、給料は上がらないのにも関わらず、担当者数が果てしなく増えていく恐れもあります。

一応、請求件数は月40件を超えると減算されるというルールもありますが、現実的にはそこまでの数をこなせないことが多いのです。

筆者がほかの相談支援事業所とも情報交換した中では、皆さん大体80~100人くらいはケースを持っていることが多いようです。

クレームの電話に出なければならないことがある

相談支援事業所にいると、たくさんの電話が掛かってきます。事務作業をしようと思っても、電話を取っていて作業が全然進まないということもあるほど、電話が鳴りっぱなしの時もあります。

電話を掛けてくる相手は主に利用者さんやそのご家族、市役所や病院などの関係機関であることが多いです。

その中でもごくたまにですが、クレームの電話が掛かってくることがあります。

慣れてくると冷静に対処できるのですが、クレーム対応を経験したことが無い人にとっては、精神的に非常に辛い仕事と言えます。

筆者も相手の怒りを収めようと放った一言が、逆に相手の怒りを増幅させてしまい、大変な思いをしたことがあります・・・。

直接支援の現場にいると、電話対応をするのは事務の人かサービス管理責任者が多いと思いますので、クレーム対応は相談支援ならではと言えますね。

急に担当件数が増えることがある

先ほども紹介した通り、相談支援専門員は通常1人あたり80~100人程度の利用者さんを担当しています。

就労継続支援事業所などの直接支援の現場にいると、職員5~6名で、20名程度の利用者さんを見ることが多いのではないでしょうか。

職員が1人退職したら大変かもしれませんが、管理者などが現場をサポートすることによって、新人職員が入るまで凌ぐことができるでしょう。

しかし、相談支援の仕事では、1人の相談支援専門員が急に退職してしまうと、その人が担当していた80~100名を他の相談支援専門員に振り分けなければなりません

そのため、これまで100名を担当していてそれなりに忙しいと思っていたのに、来月からはいきなり20名の追加を頼まれることもあるのです。相談支援専門員の資格を持っている人は少ないので、求人を出してもすぐに応募者が来ないことが多いんですよね・・・。

そのため、今いる職員で協力し合って、何とか担当をつけるしかないのです。

困難ケースも担当しなければならない

地方では相談支援事業所は沢山あるわけではありません。

そのため、新規の利用者さんの計画を立てる場合、お願いできる事業所が限られているのです。

(地域によっては相談支援事業所がないため、市町村の福祉課が相談支援を兼任しているところもあります。)

そのため、困難ケースであることが想定される場合も、市町村から依頼を受けると、事業所としては基本的に断れることはありません

しかも、どんなに困難ケースであっても、そうでないケースでも、同じ1件としてカウントされます。計画を作成する過程でどんなに苦労しても報酬単価は一緒なんです・・・。

相談支援専門員にとっては、困難ケース1件を持っていると、ほかのケース10件持っているのと同じくらい時間やエネルギーを使うので、自分自身の中でバランスを取る必要があります。


時期によって忙しさに差がある

施設や通所事業所に勤めていると、特に何月が忙しいということはあまり感じないかもしれません。しかし、相談支援専門員には3月と9月という繁忙期があります。新年度である4月1日から福祉サービスを利用し始める人が多いため、3月にサービス等利用計画案作成、4月1日付で本計画を作成という利用者さんが多いためです。

そして、福祉サービスが充足しているか定期的に確認する「モニタリング」の面談は基本的に半年に1回行うことになっています。そのため、3月の半年後である9月も、おのずと多忙になってきます

モニタリングの時期は半年に1回というのは、制度で定められているため、相談支援専門員1人の力では忙しさをコントロールできないのが現状です。自分のペースで仕事をしたいという方にとっては辛い面かもしれません。

そこで、3月分の面談を2月中旬から少しずつ始めていくことで、何とか締め切りに間に合わせていくしかないのです。そうすると、おのずと2月も忙しくなるというジレンマがあります。

オンコール対応がある

24時間体制で相談を受け付けている相談支援事業所は、夜間も当番職員が携帯電話を持って対応しています。

常に相談を受ける体制を整えることで、利用者さんが地域で安心して生活できるようにすることはもちろんですが、24時間体制を整える事業所に加算が付くシステムになっているのです。

当番職員が携帯電話を持つことは医療・福祉業界ではオンコールと呼ばれます。施設や通所事業所で働いていると、仕事が終わったら緊急時以外は特に呼び出されることもなく、リラックスすることができると思います。

しかし、オンコールの当番に当たると、仕事から帰っても「電話が掛かってくるかもしれない」という気持ちになり、緊張感が続きます

実際に電話が鳴ることは少ないのですが、精神的な疲れが溜まってしまうことは間違いありません。しかもオンコールの当番には、手当を出している事業所と、全く手当が出ていない事業所があるのです。

ボランティアでやるにはあまりにも大変な仕事ではありますが、実際に就職してみてから初めて、そういう当番があると知ることも少なくありません。

夜間や休日の呼び出しがあることも

オンコール体制を取っている相談支援事業所の場合、夜間や休日に携帯電話が鳴って、やむを得ず利用者さんの対応をしなければならないこともあります。ただ、こうした対応は日常的にあるわけではなく、「年に1回あるかどうか」という程度です。

電話に出るだけで利用者さんの用事が済めばまだ良いのですが、利用者さんの自宅を訪問しなければならなかったり、場合によっては通院に付き添わなければならなかったりすることもあります。子育てをしながら相談支援専門員として働くとなると、オンコールの当番はなかなか大変かもしれません。

実際に筆者も、夜10時頃に電話が鳴り、利用者さんの家に急遽訪問した経験があります。翌日も通常通り出勤しなければならないため、体力的にもキツイ仕事と言えます。

また、相談支援事業所に登録している利用者さんは数百名単位の規模なので、自分が知らない利用者さんから電話が掛かってくることもあります。

1人で対応できない場合は、普段担当している職員に相談することになります。

利用者さんが亡くなるなど緊急対応がある

相談支援事業所に登録している利用者さんの数は、事業所によっても異なりますが、数百名に上ることが少なくありません。

利用者さんの高齢化が進んでいるため、残念ながら担当利用者さんが亡くなってしまうこともあります。

長期入院中で、亡くなることも予想されていた場合は、あらかじめ家族と連絡を取り合うなどして対応することが可能でしょう。

しかし、利用者さんの中には身寄りがおらず、単身生活をしているという方もおり、急逝される場合もあります。

身寄りがいたとしても遠方に住んでいたり、普段の交流がほとんどなかったというケースもあります。そういった場合、利用者さんが亡くなった後の対応については、相談支援事業所が市役所や警察、病院などと連携を取っていく場合もあります。

こうした対応は滅多にない分、相談支援事業所にもマニュアルも持ち合わせていないことがほとんどです。1人で抱え込まずに職員同士で協力して、事態が落ち着くまで対応していくしかないでしょう。

雑用をこなすことが多い

利用者さんと面談をして、書類を作成するのが相談支援専門員の仕事と思われがちですが、実はもっと色々な仕事があります。

例えばゴミ屋敷の清掃だったり、利用者さんのトラブル対応など、あまり人がやりたくない仕事も、相談支援専門員が対応せざるを得ないケースがあります。

それは、福祉の制度で支えきれない部分(いわゆる制度の狭間)を相談支援事業所が担っている部分があるためです。

もちろん相談支援専門員もこうした仕事を進んで行っているわけではありませんが、「誰もやらないから相談支援専門員がやるしかない」、「相談支援専門員がやらなかったら、誰がやる?」と考えながら、日々悩みながら試行錯誤しています。

常に人手不足の状態が続いている

ここまで、相談支援専門員の仕事がいかに大変か、解説してきました。

これだけ専門性が必要とされ、苦労も絶えない相談支援専門員の仕事ですが、待遇面では直接支援の現場職員とほとんど変わらないことが多いのが現状です。夜勤が無い分、施設勤務の職員より年収は低いことも多いでしょう。

こうした事情から、求人を出してもあまり応募が無く、相談支援専門員は常に不足しています。

慢性的な人手不足だと、今抱えている仕事で精いっぱいになってしまいますし、何か新しいことにチャレンジするのも難しくなってしまいます。

新卒の職員を採用しても、すぐに辞めていってしまうこともしばしば・・・。

人手不足は、相談支援事業所が抱える課題の中でも、最も深刻な問題と言えるかもしれません。こうした大変な面があっても、現実と折り合いをつけられる人が相談支援の仕事を続けている印象があります。

やりがいも大きい

この記事では、相談支援専門員の仕事の大変なところを10個紹介してきました。

もちろん大変なことも多い分、やりがいも大きいのが相談支援の仕事です。

利用者さんの人生を変えるような場面に立ち会うことができたり、そのために相談支援専門員の立場として利用者さんにアドバイスすることもあります。

福祉業界の中でも、ほかの職種にはない、相談支援ならではの魅力もあります。

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