障がいがある方やそのご家族の中には、障がいがあると、「結婚はなかなか難しいのでは?」と考えることもあるかもしれません。
結婚するかどうかは個人の判断ですが、障害があっても結婚生活を送っている方は沢山いらっしゃいます。身体だけではなく、知的や精神障がいがあっても、サポートを受けながら結婚生活を送ることは可能です。
この記事では、障がいがある単身生活者や結婚している世帯を支援している筆者が、結婚後、どのようなサポートを受けて生活していけるかについて解説していきます。
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1,障がいがあると結婚は無理?結婚する方法や結婚生活を紹介
2,生活費は年金と所得による収入-事例も紹介
3,結婚世帯でも地域定着支援の利用は可能
4,グループホームで生活することも可能
5,家族への説明もしっかり行う
6,子どもや将来についてじっくり話し合う
7,結婚の形にこだわらない人も
1,障がいがあると結婚は無理?結婚する方法や結婚生活を紹介
結婚にはメリット・デメリットがありますが、それは障がいがあっても無くても、大きな差はないと筆者は感じています。
いくつかの障がい者同士の結婚世帯を支援し、関わってきた中で、そのように実感するようになりました。
障がいの種類や程度によっては、しっかりとしたサポートが必要な場合がありますが、福祉サービスを上手に組み合わせれば、結婚生活も不可能ではありません。
ここからは、どのように結婚生活を送っているか、いくつか事例も併せて紹介していきます。
2,生活費は年金と所得による収入-事例も紹介
障がい者同士が結婚した場合、気になることの一つが生活費ではないでしょうか。
収入があまり高くない場合、家庭を持っても大丈夫か、心配になることもあるかもしれません。
しかし、例えばカップル2人ともが障害基礎年金2級をそれぞれ受給している場合、2人分の年金を合わせると毎月15万円ほどの収入があります。
さらに2人とも一般就労することができれば、十分生活していくことは可能です。毎月の生活費でどれくらい使うかは、あらかじめ計算しておくことが必要でしょう。
障がいの程度によって、一般就労は難しい場合もあるかと思います。
しかし、1人が一般就労し、もう1人が就労継続支援事業所などに通う「福祉的就労」で働くことができれば、ある程度の収入になります。
昔よりも、色々な働き方を選べる
筆者の知っている方の中には、障がい者の社会参加を促す会社を、2人で起業したという方達もいました。障がい者のためのリモートワークも広がっているので、昔よりも働く選択肢は広がっていると思います。
現在の収入と支出をそれぞれ計算し、毎月いくら貯金できるか考えてみることが大切です。また、家計の財布はすべて1つにまとめるのか、一部は別々にするのか、完全に折半するのかについても話し合いが必要です。
家計管理のサポートも受けられる
「家計管理に自信がない」という場合、地域によっては社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」を利用することができます。
この事業では、有料ではありますが、お金の使い過ぎを防止するために、社協の事務所で通帳を預かってもらったり、支援員に訪問してもらって家計簿のつけ方を教えてもらったりすることができます。
そのほかにも、生活費20万円のうち、今月は何にいくら使うか、一緒に現金を封筒に小分けにするなどして、やりくりするようアドバイスを受けることもできます。詳しくは地域の社会福祉協議会に聞いてみてください。
3,結婚世帯でも地域定着支援の利用は可能
障がい者同士が結婚し、2人でアパートやマンションなどで生活する場合も、単身生活者と同様、「地域定着支援」という福祉サービスを受けることが可能です。
夫婦どちらかで利用することもできますし、夫婦2人とも利用者になることも可能です。地域定着支援では、月1回以上、相談支援事業所に所属する支援員が連絡をくれたり、訪問してくれたりして、困っていることを相談することができます。
事業所によっては、通院の付き添いや買い物同行をしてくれる場合もあります。
支援内容は相談支援事業所によって異なるので、一度相談してみると良いでしょう。
そのほかにも、単身生活者と同様にヘルパーを利用することもできます。もちろん自分たちでできる部分は自分たちで行うのは原則です。
しかし、掃除や料理などは健康的な生活を送るためにも大切です。家事の中でも、「本人たちだけではどうしても苦手」という部分だけ、お手伝いしてもらうと、結婚生活の大変さはかなり軽減できると思われます。
4,グループホームで生活することも可能
障がい者同士で結婚する場合、2人でグループホームに入って生活している方もいます。
グループホームにはいくつかのタイプがありますが、結婚世帯の場合、サテライト型のグループホームに入り、支援員と連絡を取ったり、定期的に訪問してもらう生活スタイルが多いようです。
知的障がいがあるため家計簿の計算が難しい場合や、市役所からの書類が来て内容がよく分からない場合など、支援員にすぐに相談できるのは、生活するうえで安心感があると思います。
このように、生活する場所によって色々なサポートの受け方があるので、どのような形であれば生活していくことが可能か、話し合うことが大切です。
グループホームで一定期間過ごすことによって生活能力をつけ、その後、2人でアパートに住むこともできるでしょう。
5,家族への説明もしっかり行う
障がいの有無に限ったことではありませんが、当事者2人が結婚したいと思っても、残念ながらご家族が反対されるケースもあるようです。
しかし、やはり障がいがあっても2人で生活していけるのか、イメージが湧かなかったり、心配されたりする場合に、「反対」という立場に立たれるケースが多いようです。
逆に言えば、ご家族が「これなら大丈夫」と安心することができれば、応援してくれる場合もあります。
ご家族としては具体的にどのような点が心配なのかを聞き、心配はいらないという理由をしっかりと説明することが大切です。
場合によっては当事者とご家族だけではなく、相談員や支援員も同席し、仲介すると、話し合いがスムーズに進むでしょう。
6,子どもや将来についてじっくり話し合う
入籍はゴールのように見えて、実は結婚生活のスタート地点でもあります。
2人で結婚生活を送ることはできるけれど、子どもについてはどうしようか、悩むカップルは少なくありません。
出産や育児そのものが大変というだけではなく、子育てをするとなると、仕事を続けていくのが難しくなることもあるので、経済的にも負担が大きいからです。
子どもはどうしても欲しいのか、産むとしたら何人ほしいか、その場合の生活費はどうなるか、時間をかけて、たくさん話し合うことが大切です。
逆に子どもは設けず、2人の生活を楽しんでいるカップルもいます。
また将来的に、どちらか1人が転職や引っ越しをしたくなることもあるかもしれません。
子どもやお金のことだけではなく、将来の仕事のことについても、相手の考えを理解しておく必要があります。
7,結婚の形にこだわらない人も
ここまで、障がいがあっても結婚生活を送ることができる理由について解説してきました。
サポートを受けながら結婚することについて、イメージは湧いてきたでしょうか?
最近では入籍という形にこだわらず、パートナーとして同棲するカップルや、事実婚を選択する方もいます。また、ちょうどよい距離感を保つために、あえて結婚せずに、長年それぞれ1人暮らしをしながら、お付き合いしているケースもあります。
お互いに自立して生活し、楽しいことをシェアするのも素敵ですね。
結婚するまでには、障がいの有無にかかわらず大変なことが沢山あるかもしれません。
周囲の相談員や支援員の力も借りながら、2人にとってベストな形を探ってみてくださいね。
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