児童のサービス等利用計画を作るコツ5選

相談支援

相談支援専門員の方の中には、これまで成人の利用者さんしか担当したことがないのに、事業所の都合でいきなり児童のサービス等利用計画を任され、困ってしまう方もいると思います。

かつての筆者も保育士の資格もなく、子育て経験もないのに児童の担当になり、困った経験があります。

確かに児童のサービス等利用計画を作成するには、成人の計画と異なる部分があり、コツが必要ですが慣れてしまえば大丈夫です。

この記事では、社会福祉士として児童のサービス等利用計画を100件以上こなしてきた筆者が、初めて児童の計画を作成する方向けにポイントをお伝えしていきます。

筆者のプロフィールはこちらhttps://fukushilabo.com/zikosyokai/

目次
  1. 児童のサービス等利用計画を作るポイント5つ
  2. 保護者の考え方を知る
  3. 児童の成長した部分に着目する
  4. 保護者の困り感を基に、次の目標を考える
  5. 困り感が出てこない時の対応
  6. 家庭・保護者への支援が必要な場合も
  7. どうしても苦手意識がある時は

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 1,児童のサービス等利用計画を作るポイント5つ

障害児が放課後等デイサービスなど、福祉サービスを利用するときに作成する書類が、「障がい児サービス等利用計画」と呼ばれるものです。

保育士の資格を持っているわけでもなく、子供の成長のことなんてよくわからなくても、相談支援専門員として勤務していると、ある日突然、児童を担当しなければならないことは起こり得ます。まさに筆者もその1人でした。

しかし、ポイントさえ押さえておけば、少しずつ慣れていくことができます。ここからは具体的に、児童のサービス等利用計画を作成する際の基本的なポイントをお伝えしていきます。

2,保護者の考え方を知る

児童のためにサービス等利用計画を作成する際の成人との1番の違いは、主な聞き取り相手が本人ではなく保護者になることです。本人はまだ幼児~18歳ですので、自身の障がい特性や成長について、客観的に捉えることが難しいためです。

そのため、保護者から見て、対象児童にどのような特性があるかを聞くことになります。

まずは、保護者の中にも色々なタイプがいることを押さえておきましょう。例えば、本人のことをよく見ている方もいれば、忙しくてなかなか状態を把握しきれていなかったり、説明が得意ではない方もいます。

療育を利用する目的も様々

また、療育に通わせる目的も多岐にわたります。本人の成長のためと考えている方と、保護者が働いているので放課後に預かってほしいというニーズの方もいます。

相談支援専門員としては、保護者が児童本人の特性をしっかりと把握し、一緒に成長を願っていきたいところですが、現実ではそのような方ばかりとは限りません

保護者の中にも言葉で説明することが苦手な方もいます。まずは保護者がどのようなタイプの方なのかを見極め、受け止めることも、児童の計画を作成する上で重要なポイントです。

 3,児童の成長した部分に着目する

サービス等利用計画を作成する際は、保護者に最近の児童の様子を聞くことになります。その際、何か変化はあったか、気になることはないか質問することが多いと思います。

それで返答が返ってくれば相談支援専門員としては仕事がスムーズに進みます。

しかし、保護者は毎日児童に関わっているので、変化に気が付くことができず、「特に変わりません」と答える方もいます。

そのような時、面談で気まずい沈黙が流れてしまいそうになることもあるでしょう。

そういった時は、「児童が最近できるようになったこと」がないか、聞いてみましょう。着替えでも食事でも、トイレのことでも、なんでも結構です。

それでも何も出てこない時は、季節に応じて「運動会や学芸会では、どうでしたか?」と聞いてみると、成長したエピソードが出てくることがあります。普段の学校生活のことは、先生から何も連絡がないので、よく分からないという保護者も多くいます。

生活場面をイメージした質問を

「家庭での様子はどうですか?」と漠然とした質問よりも、「忘れ物はありませんか?」「お風呂には1人で入っていますか?」など、家庭での様子を具体的に聞くと、発達課題が出てくることもあります。どれくらい発達に心配があるかについては、通常発達と比較することになります。

また、1年前の計画やモニタリングを見ながら、「以前は○○のような困り感があったようですが、最近はどうですか?」と質問を投げかけてみるのも良いと思います。

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4,保護者の困り感を基に、次の目標を考える

保護者の中は、子どもの通常発達や、障がいの特性についてよく調べている方もいます。しかし、発達障害の特性について分からないという方ももちろんいます。

ですから、特性の緩和を目指してサービス等利用計画の目標を立てましょうと保護者に言っても、ピンとこないので、なかなか伝わっていないこともあります。

相談支援専門員の仕事のゴールを、「サービス等利用計画を完成させて、市役所に提出すること」に設定してしまうと、とにかく目標を立てなければと焦ってしまいがちです。

困りごとの原因を具体的に探る

目標が定まらないと保護者ではなく、相談支援専門員が考えた目標になってしまうこともあるでしょう。しかし、児童でも成人でも、サービス等利用計画の目標は、ご本人たちのニーズが出発点となるはずです。

児童を育てている上で、保護者はどのようなことに困っているのか?という点を手掛かりにすると、目標が見えてくることがあります。

例えば、「学校に行く準備を1人でできない」ということで困っているのであれば、時計を読むことが苦手なのか、朝食や歯磨きの準備がルーティーン化されていないのか、具体的な原因を探っていきます。一つひとつ丁寧に聞いていくと、「あ、うちの子時計は読めます」など、保護者の方が答えてくれるでしょう。

原因が分かれば、「○○をできるようになろう」という目標が見えてきます。

5,困り感が出てこない時の対応

面談で保護者に聴きとる中で、児童の特性がはっきりしてきているので、家庭でそれなりに対応しており、「困っていません」と答える保護者もいます

確かに、保護者が本人のペースに合わせて活動できているのであれば、喜ばしいことです。

しかし、家庭の中では大丈夫であっても、やはり集団の中で社会生活を送るうえでは、客観的に見ると、課題と言える障がい特性がある場合が多いでしょう。だからこそ、療育に通っているとも言えます。

そんな時、相談支援専門員としては、「困り感が無ければ次の目標を立てられない」と、焦ってしまいがちです。

話を聞く順番も工夫する

筆者の場合、まず最初に利用している事業所の職員に聞き取りをしてから、その次に保護者から話を聴くようにしています。話を聴く順番に関しては、相談支援専門員それぞれによって、やりやすい順番があるかと思います。

筆者の場合は、まず療育のプロから見た児童の様子を把握し、その情報を基に保護者に聞きたいタイプです。

そうすると、計画を作成するための基本的な情報が入っているので、保護者にも質問がしやすくなると感じています。また、保護者の方としては話を聞いてくれる人がいるというだけでも、安心したり、気持ちがすっきりしたりするものです。うまく計画を立てられなくても、話を聞いて保護者のことを応援するだけで十分役に立っているということを思い出すと、計画の仕事が面白くなってきます。

6,家庭・保護者への支援が必要な場合も

児童の計画相談では、障がい児がいる家庭の状況にも目を向ける必要があります。例えば保護者が離婚していたり、困窮状態にあったりする場合もあります。

時には離婚問題などデリケートな問題も含まれる場合があるので、質問の仕方に気を遣うようにします。

しかし、家庭の状況の変化は、児童にとっても大きな影響があるので避けては通れないかと思われます。

実際、筆者が受け持ったケースでも虐待になりそうだったり、フードバンクの利用を勧めたりした案件がありました。場合によっては生活保護の申請を手伝う必要があるでしょう。

診断を受けていなくても、保護者自身にも障がい特性があると思われる家庭もあります。1人では支援が難しいと感じた場合は、遠慮せずに市役所の保健師さんに相談するなど、支援の仲間を作っていきましょう。

 7,どうしても苦手意識がある時は

ここまで、初めて児童のサービス等利用計画を担当する方向けに、いくつかポイントを解説してきました。

そうは言っても、そもそも「子どもが苦手」「子育てしたことがないので、やっぱり分からない」という方もいるかもしれません。

そのような時は、一度療育の現場で子供たちと一緒に遊ぶことから始めてみることをお勧めします。

聞き取りは保護者がメインとなりますが、まず児童本人に会って、関わってみましょう。きっと新たな発見があると思います。

そうすることで、児童の相談支援が少しずつ興味深くなってくることを願っています。

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