福祉の仕事をしている人の中には、業務で利用者さんの通院に同行することになったけれど、何に気を付ければよいのか悩んでしまう人もいると思います。
医療のことはよく知らないのに、利用者さんの健康問題にかかわる業務をしなければならないとなると、責任が重く感じてしまうかもしれません。実は、相談員になりたての頃の筆者も、全く同じ思いでしたので安心してください。
この記事では、「通院同行で利用者さんと病院に行く際に、どのような点に着目し、気を付ければ良い?」という疑問に答えていきます。
- 福祉の仕事で通院に同行する時のコツ5選
- 受診前(1) 同行する利用者さんの病気について、基礎知識を得る
- 受診前(2) 出発から受診、受薬、帰路までの経路を頭に入れる
- 受診時(1)利用者さんの近況について、医師や看護師に説明できるようにしておく
- 受診時(2)薬の飲み方について、ほかの職員に説明できるようにする
- 受診後 通院について記録し、次回の通院に備える
- 通院同行は慣れが肝心! 数をこなしていけば大丈夫
福祉の仕事で通院に同行する時のコツ5選
福祉の仕事をしていると、ヘルパー事業所や相談支援事業所、通所事業所、グループホーム、入所施設など、様々な職員が利用者さんの通院同行をしなければならないと思います。どの立場で同行するにしても、通院同行する時に求められることはほとんど変わりないでしょう。
基本的に通院同行では、職員が1人で利用者さんの通院に付き添うため、先輩の指示を仰げることが少なく、自分で判断しなければなりません。時には1度に2人連れていくよう頼まれることもあります。
責任の重い仕事で敬遠してしまうかもしれませんが、慣れていけば大丈夫です。
それでは早速、利用者さんの通院同行する時のコツを5つにまとめて紹介していきます。
受診前(1) 同行する利用者さんの病気について、基礎知識を得る
同行する利用者さんが、どのような病気で、何年前から、どれくらいの頻度で通院しているか、事前に資料を読んでおくことが大切です。そうでなければ、受診時に利用者さんに代わって医師や看護師とやり取りする時にスムーズにいかない場合があるからです。
医師でもないのに、病気についてどれくらい調べる必要性があるか心配になるかもしれません。
病気については、まず病気の原因や症状、利用者さんの病気の進行具合、今後予想される経過、普段の生活で気を付けるべきことを知っておけば十分です。
薬のことも下調べしておく
また、薬が処方されている場合は、薬の副作用についても知っておくことが大切です。
その病気はどのような人が罹りやすいか、なども知っておくとさらに良いですが、福祉職は医療職とは支援するうえで視点が異なりますし、一度にたくさん勉強するのも大変なので、少しずつ知っておけば大丈夫です。
これらのことが資料に記載されていない場合は、受診時に先生に質問すると良いでしょう。
特に福祉職として生活支援をしていると、普段の生活の中で病気が悪化するようなことがないように、気を付けなければならないという視点が大切です。
受診前(2) 出発から受診、受薬、帰路までの経路を頭に入れる
通院に同行するには、普段利用者さんが受診前にいる場所から、どのような手段で、どういった経路で病院に行き、帰りはどこに送り届けるか、確認しておくことが大切です。
受診する時間帯によって、グループホームから出発するのか、いったん作業所に行って、作業所を早退する形で受診するのかによって、当日の動きが変わってきます。
筆者も失敗した経験があるのですが、どのように動くかによって、関係する職員で情報共有しておかないと、当日混乱を招くことになってしまいかねないので注意が必要です。
初めて行く病院では、院内で迷わないよう注意
利用者さんが車いすを使用している場合、病院内にエレベーターはどこにあるか、確認しておくことも大切でしょう。
総合病院の場合は、診療科も多く慣れていないと迷ってしまうことがあります。できれば駐車場の位置などを、下見をしておくと安心です。
持ち物はお薬手帳や健康保険証、病院の受診券など、自分で通院する時と同じです。万が一、忘れても受診はさせてもらえることが多いですが、普段からご本人が所持しているのか、施設で管理しているのか、前もって確認しておきます。
受診時(1)利用者さんの近況について、医師や看護師に説明できるようにしておく
ご本人が高齢や障がいなどによって自ら説明することが難しい場合、受診時は、付き添っている職員が医師や看護師にご本人の近況を詳しく伝える必要があります。どのようなことを聞かれても答えられるよう準備しておくことが大切です。
少なくとも、病状に変化がないかや、食事や睡眠はしっかりと取れているかなど、健康に関わることは把握しておきましょう。
症状によっては、ご本人の前では言いにくいこともあるかもしれません。特に認知症の場合など、ご本人が症状や病気を認めたがらない時は、ご本人の気持ちに配慮する必要があります。
問診以外でも相談方法はある
事前に近況を簡単にまとめて、看護師に手紙として渡すのも手です。そのほかに受診の際、困ることがありそうな時は、病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談することが大切です。MSWは医療相談室などといった名称の部署に配属されているので、病院の代表電話にかければ繋いでもらうことができます。
受診時(2)薬の飲み方について、ほかの職員に説明できるようにする
受診後は、薬が処方されたら利用者さんと一緒に薬局に行くことが多いです。大きな病院に行くと、病院の近くに複数の薬局が並んでいることもありますが、できれば毎回同じ薬局に行って、「かかりつけ薬局」を作っておくことが大切です。何回も行くうちに、薬剤師と顔なじみになっていくので、色々と相談しやすいでしょう。
受薬時に質問し忘れたとしても、顔なじみになっておくと、後から電話でも聞きやすくなります。
薬の管理の仕方や飲み方について、別途アドバイスが必要な場合は、かかりつけ薬局から、薬剤師による訪問支援を受けることもできます。
薬の管理はミスが起きやすい
薬の管理については、グループホームや施設の場合、薬のセットの誤りや、利用者さんへのお薬の渡し忘れ、服薬の確認漏れ、別の利用者さんに渡してしまうなどのミスが発生しやすいです。
どの職員でも対応できるよう、便利アイテムを活用することも検討しましょう。
最近ではお薬カレンダーのほかに、薬を事前にセットしておくと、時間になったら自動で薬が出てくる機械も販売されています。
グループホームや施設で1つ購入しておくと、便利でしょう。お薬カレンダーは100均でも買えますが、マチつきのしっかりした作りの物の方が丈夫なので長く使うことができます。
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受診後 通院について記録し、次回の通院に備える
受診から帰ってきたら、当日のうちに通院について、記録を取ります。
多忙な中では受診時に医師や看護師から言われたことを忘れてしまいがちなので、必ずその日のうちに済ませてしまうようにしましょう。
毎回同じ職員が同行することになっていたとしても、急に仕事を休むことになって別の職員に対応をお願いする、ということもあり得ます。
どの職員でも対応できるよう情報共有することが大切です。
通院同行は慣れが肝心! 数をこなしていけば大丈夫
通院や受薬は健康に関わることなので、利用者さんに代わって医師や薬剤師に質問したり、きちんと説明を理解したりすることは、責任が重いと感じてしまうかもしれません。
しかし、何度も行けば段々と知識がついていきますし、コツがつかめてくるので、大丈夫です。
自分が同行しているからこそ、利用者さんの健康を守れると思うと、とてもやりがいのある仕事だと思います。
ヘルパーになれば、短時間勤務での通院同行の仕事をすることも可能です。
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